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自分の部屋に上げるというだけでもかなりのハードルだったのに、律仁さんが家に泊まるなんて予想の範疇を超えていた。
大学生の友達同士での寝泊まりなんて良くあること。
律仁さんとだって楽観的に考えればいい筈なのに無駄に緊張感が増すのは少なくとも律仁さんを意識しているからだった。
「律仁さん、俺ん家お客さん用の布団とか余分にないです……」
「いいよ、そこで渉太と一緒に寝るから」
律仁さんは平然とした顔で後ろのシングルベッドを目で示す。
律仁さんとくっついて寝る!?
しかも、シングルベッドだから大人二人じゃ確実に密着せざるおえない。
渉太は想像しただけで口から心臓が飛び出そうになった。
「それはっ!!困りますっ」
あの夏に背後から抱きつかれた時だって、変な冷や汗をかいて気が気じゃなかった。
律仁さんに密着されて寝るなんて、心を落ち着かせて眠りにつけるわけがない。
別に変なことを期待している訳じゃないのに顔が熱くなっているのが自分でも分かる。
完全に自分の顔が赤くなってる気がする……。
変なことでも考えてたらなんて、律仁さんに思われて茶化されたらそれでこそ穴があったら入りたくなる。
「渉太、今ちょっといやらしい想像でもした?」
そんな願いも虚しく、追い打ちをかけるような律仁さんの言葉。
恥ずかしさを隠そうと俯いていたのに、言葉と共にその綺麗な瞳で此方の顔を覗き込んでくるので渉太は居た堪れなくなっていた。
この胸がバクバクと落ち着かない高鳴りに気づかれたくない。
「し、してないです」
「なーんだー。渉太さえよければ俺は構わないと思ってるけど?」
「えっ、それは……っ」
渉太は精一杯首を振って大きく否定しては距離をとるように後ずさるが、律仁さんが少し腰をずらして空けた分の距離を更に詰めてこようとしてきた。
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