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そう考えれば考えるほど、疑問を感じていたことがパズルのピースを嵌るみたいに辻褄が合って怖くなる。
あれほど頻繁にラウンジに来てたのに急に来なくなったのは律仁さんは律で律のドラマの撮影がそのタイミングで始まったから?
仕事のこと、律仁さんのことを聴いても濁されたのは芸能人であることを気づかれたくなかったから?
そして極めつけは、律仁さんに最後に会ったときに投げかけられたあの質問を思い出しては渉太は懸念抱く。
そんな自分ですら状況の整理ができていない中での三谷さんの質問攻めに困惑していると部室のドアが開かれ、彼女の視線が俺から入口の方へと変わった。
彼女が入口の人物を見るなり、そちらの方に駆け寄って行ったので安堵したが「あ、大樹先輩!」と叫んだので渉太も思わず扉の方を見やる。
「あ、大樹先輩。先輩のこれ、友達の律仁さんですよね?これどうゆうことですか?」
三谷さんが俺の時と同じようにスマホ画面を先輩に見せては問いただしている。
そして、そのやり取りに気づいたテーブルに集まっていた女子部員までもがあっという間に大樹先輩を囲った。
一番家中の本人と近しい人、関係がありそうな人。
「先輩の彼女さんと律仁さん写ってるのなんでですか?」
「あーどうだろうな。俺も彼女とはもう終わってるし、この件に関して分からないんだ。」
「大樹先輩、律仁さんと友達じゃないですかー?律仁さんって浅倉律だったんですか?」
質問の矛先が俺から大樹先輩に変わり、先輩も圧倒されたかのように身体を仰け反らせては苦笑いをしていた。遠くで聴こえる大樹先輩が困っている声。
渉太も彼女達と一緒で知りたいことが多かった。その野次馬に紛れる勇気はない。
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