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※一部軽度の過激表現あり※
自分からじゃ、これが精一杯。
律仁さんの腕を離して元に戻ろうとした時、それと同じくらいの早さで律仁さんが近づいてきては再び唇が重なった。
さっきよりも熱が籠った優しく噛まれるようなキス。何度も唇を吸われては擽ったくもあり、其れが心地良い。
律仁さんからする鼻腔を擽るいい匂いに唇から伝わる律仁さんの感触。背中からゾクッとしたものが競り上がってきて、顎が少し上へと傾いた。
律仁さんは片時も離れることなく追うようにして、舌先が口内に侵入してくる。
渉太は初めてのことに、驚いて目を見開いたが何度か律仁さんの舌を受け入れるように答えているうちに止めることを忘れて夢中になっていた。
「んっ…」
上顎を舌でなぞられ、自分でも驚くくらいの色っぽい声がでてしまった。
その声に反応したのか律仁さんさんが俺を見下ろしてじっと見つめてくるのが、恥ずかしくて慌てて口元を手で覆う。
今の気持ち悪かっただろうか……。
「あ、これはっその……ちがくてっ……」
どう言い訳しようにも思い浮かばなくて、狼狽える。どんなに律仁さんが受け入れてくれていたってこんな男の欲、丸出しの声なんて聞いていて愉快なものではない。
「キス気持ちいい?」
そう思ったら途端に怖くなり、首を全力で左右に振るが、律仁さんは「渉太。手で隠すのやめて?」と言ってきては、頭を優しく撫でてきた。
恋人同士ならいずれ、その日がくるのことがあることは分かっていた。
自分だって、もっと律仁さんとキスしたいし、触れ合いたいけど……。
宥められるように頭を撫でられては徐々に口元から手を離すと、右手をギュッと握られてはキスが再開される。
キスをしているうちに、自分の下腹部が疼き出していることに気づく。渉太は律仁さんに気づかれたくなくて、腿を擦り合わせたくなるのを我慢して、腹部に力を入れてやり過ごしていた。
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