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「もしかして渉太、尚弥くんのこと気になってる?」 少し律仁さんの眉間に皺が寄る。 気になっていないと言ったら嘘になる。 しかし、こんな話、律仁さんの前で言って余計な誤解を招きそうだったが、渉太は正直に話すことにした。 「まぁ…少し……だからって前好きだった人だからとかじゃなくて、大樹先輩と接点があったみたいなので少し聞いたんです。昔の藤咲くんのこと、そしたら俺にした態度も訳があったんじゃないかって思えてきて………」 「渉太は大丈夫なの?演奏会のとき、凄く辛そうだったから」 律仁さんは眉間に皺を寄せ、膝に肘をつけて両手を拝むように合わせては、親指に顎を置く。 「はい……俺には律さんのこと嫌いだって言ってた藤咲くんが今こうやって藤咲くんが律仁さんと仕事してるってことは少なくても律さんのこと好きな証拠だし……。自分のことでも藤咲くんのことで心の整理つけなきゃなって……」 律仁さんはどう思ってくれているのだろうか。藤咲くんとの接点なんて、また彼が大学に会いに来ない限り何処で何をしているかも分からない。 図々しいかもしれないけど、律仁さんがどうにか繋いでくれるんじゃないかという、微かな期待。 律仁さんだって、幾ら仕事でいい関係を築けているからと言って大樹先輩ならともかく、俺を陥れた奴になんか合わせなくない筈だ。 「分かった、渉太。再来週の日曜日空いてる?」 「空いてますけど……」 「朝早いけど、空けといて?5時に迎えに行くから。出来ればスーツがあるといいかも」 「5時!?え、あ、はい」 少し身構えて律仁さんの返事を待っていたのが、無駄だったかのように淡々と話が進んでいく。渉太は頭が整理できないまま日時を指定されて渉太はきょとんとしてはロボットのように唯、頷いていた。

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