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差し込む日差しに目を細めながらゆっくりと瞼を開く。夜が明け朝を迎えたのだと悟ると渉太は寝返りをうち、隣を見遣った。隣では律仁さんがスースと寝息をたてながら眠っている。掛け布団からはみ出している律仁さんの肩から、自分は律仁さんとセックスと言えるか分からないが、律仁さんと肌を触れ合わせることが出来たのは間違いないことを物語っている。一応する事が出来たんだと自覚しては、改めて恥ずかしくなり、頭を布団へと潜り込ませた。 あの後、下着一枚のまま律仁さんと抱き合い、倒れるようにしてベッドに潜り込むと気づいたら眠りについていた。自分にとっては、誰かと肌を合わせることなんて初めてでとても大きな事だった。 渉太は潜らせた頭をひょっこりと出すと、律仁さんの寝顔をまじまじと眺める。 恋人の寝顔は数倍愛らしく見えるとはよく言ったもので、普段のかっこいい律仁さんから想像つかないくらいやっぱり、寝顔がかわいい……。律のスイッチが入った時のと非じゃないくらいだ。 「寝顔、そんなに可愛かった?」 「ひぇ!?起きてたんですかっ」 愛おしいさが増してことままキスをしてしまっていいかと考えていると目を瞑りながら、寝ていると思っていた恋人の口が動いて、渉太は一驚した。 「渉太がうっかりおはようのチューしてくれるの待ってたんだけど、なかなか来ないから寝たフリ飽きちゃった」 瞼がゆっくり開かれ、腕枕をしながら此方を見つめてくる。もう少し律仁さんが声掛けてくるのが遅かったら、キスをしていたかもしれないと思うと行動を見抜かれてちょっと悔しい。 「可愛いだなんて自分で言うもんじゃないです」 渉太は照れ隠しで布団を引っ張るようにして背を向けると、律仁さんにすぐさま背後から抱きつかれる。 「おはよう、渉太」 昨夜から数えて何度されたかも覚えていないが、こめかみにキスをされ途轍もなく幸せな気持ちになった。

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