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二人の約束
悠斗side
ねえ、僕の気持ちに気づいてよ。
僕はいつだって直己を見てるのに、直己は僕のことなんて眼中にないんだ。
ふにゃりとした笑顔を見せているのは、昨日とは違う女子。
教室のドアに左腕を掛けて、見上げている女子に向かって微笑んでいる。
胸が張り裂けそうなほど苦しくて、僕は思わず目を逸らした。
直己と僕は幼馴染みで、高校生になっても同じ学校に通うほど仲が良い。
いつからだっただろう?
直己が恋愛対象の好きに変わったのは…
気がつくと直己のことばかり目で追いかけてる自分がいて、直己が取る行動のひとつひとつに感情が乱されてることに気づいたんだ。
もともと女子からの人気が高い直己は、ひっきりなしに向こうから寄ってくる。
その度に、ズキンとする胸…
僕が勝手にヤキモチを妬いてるだけだってわかってる。
わかってるけど、どうしようもないんだ…。
『悠斗、どうした?』
机に顔を伏せている僕の頭上から、声を掛けられた。
ドキンと音を立てる心臓…
『ちょっと眠いだけ…』
『そうなんだ…』
顔を上げることができなくて、伏せたまま答えた僕に、それだけ言うと、ガタンという音がなり、直己が自分の席に座ったことがわかる。
僕は嘘をついた。
直己に自分の気持ちを知られないために…。
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