（チャラララッチャラ～♪） 「おっ、始まった」 　出発する村の道具屋で今のレベルで装備できる防具や武器を買い、買えるだけのＨＰ回復アイテムの薬草やポーションを買い占めて村を出る。 「いきなりかよ！」 　村から出た瞬間にミミズもどきと蚊もどきなモンスターが二匹現れて、早速戦闘モードに入った。 「おっと、いきなり二匹相手はきついな」 　防御や攻撃を駆使して、なんとかモンスター退治に成功。拾った薬草でＨＰを少しだけ回復させておいて急ぎ足で出発点の村まで戻り、拾ったＧでなんとかギリギリ宿屋に泊まってＨＰを全快させる。 　それを何回か繰り返し、ようやく隣の村まで辿り着けた。 「それにしても……」 　気のせいかな。やけに眠いな。このゲームやってると。単純なデジタル音のＢＧＭが眠気を誘うのか、開始早々早くも眠くなってきた。 （テケテケテン、テケテケテン、テケテケテテテン♪） 　どうやら村ごとにＢＧＭが違ってるようで、この村のものは特に眠くなるような気がする。眠い目を擦りながらもなんとか村人に話し掛け、 『そう言えば酒場にモンスター退治の仲間を探してる戦士がいたなあ』 　重要な証言を得ることに成功し、いそいそと酒場に向かった。すると、 『あん？　俺様になんか用か？』 　そこにいかにもな俺様戦士が一人。更に話し掛けてみると、 『ふーん。悪かないけどお前の力も見ておかなきゃなあ』 「えっ、うそっ」 　村の中なのにいきなり戦闘モードに突入してしまった。 　「うそっ、なにこれ。聞いてないよー！」 　普通さ、村や町の中で戦闘モードに突入することなんて有り得ないじゃん。しかも相手は敵じゃなくて、今から味方にしようとしてるキャラクターだし。 　いや、待て。ある意味斬新かも。てか、戦士との戦闘に負けたら勝てるまで経験値を上げていって、戦士に勝てるようになるまでは仲間を増やせないとかの特殊設定なのか？ 「ちょ、無理だって！」 　なんたってポチは未だレベル１のままだ。そんな最弱勇者が仲間の中では一番の最強キャラの戦士に勝てるはずもなく、攻撃するたび、防御してる時にさえ減り続けるＨＰに焦る気持ちとは裏腹に、 「あ、れ？」 　戦闘中に猛烈な睡魔に襲われて、俺はコントローラーを握ったまま寝落ちてしまった。