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第九章・10
「午後から、スーツを買いに行こう。実家に帰る時に、着るスーツを」
「うん」
「それから、婚約指輪も見に行こう。好きなデザインのものを、選んでいいぞ」
「うん!」
慎也は悠の薬指に、キスをした。
(組の連中に報告したら、驚かれるだろうな)
何せ、20歳も年の離れた花婿を迎えるのだ。
反対されるかもしれないが、そこは大いに権力を乱用させてもらおう。
悠は慎也の薬指に、キスをした。
(お父さんとお母さん、驚くだろうな)
何せ、ヤクザのオジサンと結婚するのだ。
反対されるかもしれないが、もうふてくされて逃げ出したりしない。
互いの薬指を絡めて、唇を重ねた。
もう、後には戻れない。
出会う前には、返れない
甘い恋は、深い愛に変わってしまったから。
どんな未来も、二人で切り開いて行ける。
無意識のうちに、キスをしていた。
誓いのキスを、交わしていた。
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