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9話
ご飯は全て手作りだと言うが、こんな金持ちの人が家庭的な和食を作れることに驚いた。
「潔癖なので家に料理人呼ぶとか考えられない」との事だった。
(料理人を呼ぶという思考が庶民じゃないな)
「ご飯を食べるとある程度回復すると思います。淫魔は精気を吸い取りますので、吸い取られた側は食事や睡眠で気を補えば大丈夫ですので」
「はぁ…今更なんですけど、なんでオレなんです
?もっといい人たくさんいますよね?」
「何回聞くんですか。淫魔好む精気は相性がありまして、これに関していえば単純に好みなんですけどね。
あとは髪で隠れているだけで顔が単純にタイプですし」
オレは俄に信じがたかったため、「ふーん」とだけ言った。
「これからも毎日行きますね。体は落とせたし心ですよね。頑張りますね」
イケメンに笑顔で言われて、「嫌だ殺すぞ!」と言える性格であればよかった、と心から自分を恨んだ。
篠田さんは言った通り、車で家まで帰してくれた。
その際に「何かありましたら私の携帯まで連絡下さいね。他の淫魔に襲われた、体の痛みが治らないなど」と言ってくれた。
「あとは、身体が疼いて仕方なくても」
と付け足されたが、「ありえねぇ」と言って車から飛び出ていた。
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