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第7話
「…………あん、ああん……やっやっ、そこっ、でちゃうっ、でるっからぁっ……あぁっ‼」
それまで捏 ねるように蠢 いていた宝の腰に、わずかに振るような動きが加わりはじめた。絶頂が近い兆候だ。イアンは目を細めると、唇を舐めた。タイミングを見極め、宝の乳首を掻いてやる。するとたちまちだ。
「――ひぁんっ」
小さく叫んで、宝は今夜二度目の射精を果たした。
「はぁ、はぁ、はぁ――」
大きく胸を喘がせながら、宝が「でちゃた」とひとこと呟く。それがまた、彼のことを抱きつぶしたくなるほど、かわいいくて――。
イアンは彼に覆いかぶさりぎゅっと抱きしめると、今度は自分がクライマックスを迎えるために彼の尻に腰を打ちつけはじめた。
必死に縋りついてくる宝を思う存分にむさぼり、彼が息を詰めるのを聞きながら放出する。体内に迸った違和感に宝が身体を固くするのに、イアンはひどく満足する。
「宝、愛してるよ」
「うん、俺も。俺もイアンのこと……愛してる」
額に滲んだ汗を彼の肩に擦 りつけようとしたら、ぎゃくに宝のほうが濡れるほどに汗をかいていて驚く。
「お疲れさま。気分はどうだ? どこも痛まないか?」
彼のこめかみに伝った汗を着たままだった衣服の袖で拭いてやると、抱きついてきた。リネンの服に汗を吸い取ってもらいたいのか、そのまま宝は身体を擦りつけるようにしてくる。
「タオルを出そうか? それともシャワーがいい?」
「お風呂って、こんな時間でも入れるの?」
「ああ。この間入った大浴場は温泉だったろ? いつでも入れるよ。でも移動が難しいだろうから、いまはこの部屋のシャワーで我慢しておいたらどうだ?」
宝の尻の間に指を差しいれ、陰部に触れるとすでに出したばかりのものが零れてきている。その手首を掴んでひき離した宝が、「じゃあ、シャワーで!」と焦って云うのに、イアンは眉を垂らした。細い腰を引き寄せて、宝を胸のなかに抱きくるめる。
「じゃあ、シャワーな」
「この部屋ってシャワーとかあったんだ?」
「そっちの壁の向こうに衣装部屋とシャワールームがある、でももう少しあとな」
きょとんとした顔の宝の胸をぺろりと舐めながら云うと、「もしかして、またするの⁉」とびっくりされてしまう。
「さっきのは前戯のようなもんだよ。今からが本番」
しれっとして云ってみると、はっとした顔になった宝が「えっ!」と叫んで、口に手を当てた。
「そうだったの?」
そしてすまなさそうに眉を寄せて「わかんなかった。……ごめんね」と本気で謝りだす。そんな宝に顎を引いたイアンは、彼相手にこういう戯言は考えものだな、と鼻の頭を掻いた。
宝の片脚を掬いあげ「挿れるぞ」と腰を押しつける。もうとっくに柔らかくとろけている内部に、再びペニスを潜りこませると、イアンの半勃ちだったそれはあっというまに回復した。
「くっ、んっ」
そのまま膝立ちになって宝の左足を肩にかけると、宝の腰がシーツから浮いてしまう。支えるために掴んだ彼の腰はとても頼りなく、折れてしまいそうだった。
「この体勢は? いけそうか?」
「うん」
「ちょっと探 るからいいところに当たったら云うんだぞ?」
「へ? どういうこ――んっ、つあっ」
いろんな角度で彼の濡れた内壁に亀頭を圧しあてて、それらしいところを探してみる。しかしいつまでも宝はこれといった反応を返さなかった。眉根を寄せて「んん……んんっ」と息を詰めているだけだ。
「……俺、ぜんぜんうまく、んっ……できていないよね?」
「いいや、そんなことないよ」
励ますために彼の足首にキスをする。
「あの、俺……」
「まだなにかあるのか?」
いったいなにを云いいたいのだと、腰を動かすのをやめないままイアンは眉を顰めてじっと彼の言葉を待った。
「うん。……その……、男とするのはイアンがはじめてなんだけど――」
(まぁ、そうだろうな)
そんなのは充分承知だが、彼の口からじかに聞かされるとうれしいものだった。その告白にはまだ続きがあるようで、宝はイアンの下でもじもじしている。羞恥に赤く染まった顔も、手を口もとに当てている仕草も、なんとも可憐だ。
宝のこういった処女っぽい所作も今のうちだけなんだろうなと思ってイアンは微笑した。はやく彼には完熟して欲しいのだが、このような態度が失われてしまうのは、やはり惜しい気もしてくる。
(男って身勝手だよな)
後ろめたい気持ちに後押しされて、イアンはことさらやさしい声をだした。
「ん? 宝、どうした、云ってみろ?」
「……………………実は、俺……、童貞なんだ……」
(…………は?)
それだけ云った宝は両手で顔を覆ってしまった。
(いや、それもそうだろうな)
そんなことにはとっくに察しがついていたのだが、彼にとっては重大な案件だったようで、彼は全身真っ赤にして息を殺している。
彼が自分の返事を待っているのだとはわかっているが、ではいったいなんと返せば彼のプライドが傷つかずにすむのだろうかと、腰をゆらしながらイアンは悩んだ。
ただそうしていても身体のほうはとても正直で、宝のその生娘のような態度にひどく興奮したペニスが彼の体内 でど膨張 してしまう。それで、顔を隠したままだった宝の身体がビクッと跳ねた。
イアンは「はぁっ」とひとつおおきな息を吐いた。そしてそのまま宝の身体をうつ伏せにして腰を高くあげさせる。
「んあっ、イアンッ? ――あっ、あああっ……」
急な体位の変更で宝が驚くのにかまわず、腰骨をぐっと掴んで自分の腰をグラインドさせると、やっといいところにあたったようで……。
「あぁ……」
宝は気持ちよさそうな反応を返した。そのまま彼の様子を見ながらリズミカルに粘膜を擦りあげていく。
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