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第2話◇
ほんとにすごい、整った顔。ていうか、整いすぎ? めちゃくちゃ、カッコいいな。 絵に描いてみたい。 すごく、綺麗な絵が描けそうな気がする。
茶色の髪が陽に透けてて綺麗。 顔の中でも、特に印象的なのが、瞳。
思わず見惚れてしまいながら。
他人の事に疎いオレにすら、勝手に聞こえてきている噂話を思い出す。
たしか、バンドを組んでて、そのボーカルで、とにかく物凄い人気があるらしくて。当然だけど凄くモテるらしい。
そういえば、去年の大学祭のイケメン投票でダントツの一位になって表彰されてるのは、すごく遠くから、見た。
ただ、この人は――――……
男女問わず複数の人と、そういう関係を持つらしく。そっちでも有名。
それでも、一回でもいい、という人が後を絶たないらしくて。
男女問わず、大人気だって話も、聞いた事がある。
……まあ、これだけ見た目、良すぎれば分からなくはないかも。
ちょっと良い、とかじゃない。 かけ離れて、整いすぎ。
人込みに紛れたって、この人の事は一瞬で見つけられそうな気がする。
……ん?
なんでそんな人が、「オマエもぼっち」なんて言うんだろ。
オマエもって。
――――……自分も、一人ぼっちってこと?
でもどう見たって、そんなタイプには見えないし。
……オレの聞き間違いかな。
名前、なんだっけな……。
学部も違うし、当然取ってる授業も違うから、授業では会わない。
噂でしか、知らない人。
「――――……誰。 なに、お前?」
低めの、涼しい声。
なんだか一度聞いたら忘れない感じの、いい意味で特徴的な、声。
この声で、歌うのか……。ちょっと聞いてみたいな。
呆けて、咄嗟に答えられなかったオレに、彼は、猫を抱いたまま立ち上がった。
見た目がこれで声もカッコよくて、立ったら背も高くて足も長くて。とか。
――――……欠点とか、ないのかな??
派手で、目立ちすぎるとこ、とか?
……欠点では、ないか。
「何か用?」
超イケメンが猫を抱きながら、オレを訝しげに見ている。
「なに、て…… あの……」
声を出したら、彼に抱かれてた猫が、ふっとこっちを向いた。
「あ、クロ」
やっぱり、クロだった。
さっき呼んでたのに、来てくれないんだから。
……クロもイケメンが好きなのかな。
なんて、考えて、心の中でおかしくなってしまう。
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