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第326話◇

「で、雪奈のSNSが何?」 「玲央、スルーがひどすぎる……」  ぷ、と苦笑いしながらも、勇紀はスマホを取り出す。 「玲央の片思いを皆で応援しよう的な雰囲気になってる」 「……そっか」 「玲央の事だからもう片思いじゃなくて両想いになってるんじゃって鋭い子も居るけど、そうだとしても玲央の恋を応援しようって事になってるんだよねー。 雪ちゃんがうまいんだよ、長年やってるだけある」  クスクス笑いながらそう言って、勇紀はオレに視線を向けた。 「これは優月と一緒に見ても、優月も喜ぶと思うよ。――――……ちゃんと雪ちゃんにお礼しときなよ?」 「ん。分かった。後で優月と見てみる」 「うん」  スマホを置いて、勇紀が、んー、と伸びをする。 「それにしてもなー……」 「……?」 「ちょっと前まで、玲央が誰か1人と、とか――――……考えられなかったのになぁ?」  しみじみそんな風に言って、そして「しかも相手が、優月とか!」と笑う。 「優月、去年知り合ってからずっと大好きだったからさ。……玲央が言い出したのが優月の事って分かった時は、やっぱり少しは心配しちゃったんだよ。優月、泣かせたらやだなーとか……玲央の様子が今まで通りで、セフレとしてなら、反対したかも」  そんな勇紀の言葉に、ふ、と笑ってしまう。 「――――……お前、優月、大好きだよな」 「うん。なんだろねー、あの、ほんわかした笑顔? でもさ、オレが具合悪かった時は、すごく頼りになる感じだったんだよね。 なんか、優月ってホワホワしてるけど、大事なとこはちゃんとしてるっていうか……それまで知らない奴だっのにさ、オレ警戒しないで、信じちゃったし」 「――――……」 「悪い奴でオレが倒れてる間に家で何かされるかもしれないとか、普通なら警戒するじゃん。でもなんか、優月は警戒しようって気も起きなくてさ」 「――――……」 「まあそれでも、実は悪い奴だったって事も可能性はあったんだけど…… 結果、信じて良かったっていうか」  黙って聞いていたけれど。  ふ、と笑ってしまった。 「今後は家に、知らない奴あげんなよ?」 「あげないよ。ていうか、優月だったから、あげちゃったんだよ」 「まー分かるけど……」 「分かるんだ?」 「……分かる」  2人で顔を見合わせて笑ってしまう。 「……優月がちゃんとしてるっつーか……意外と強いのは、分かってる」 「ん?」 「……柔らかいけど――――…… たまに、気持ちいい位、強い」 「例えば?」 「――――……んー。なんか今出てこねえけど。まっすぐで強い気がする。でも柔らかくて、優しいっつーか」 「しっかりしててくれた方がいいんだよね、玲央は。依存されるの好きじゃないもんね?」 「まあそう、だけど――――…… あーでも……」 「ん?」 「優月に依存されるのは全然いいかも」 「え。甘えられるのとか、イイの?」 「……むしろ、甘えればいいのにって思う。あいつ、甘えないんだよな。……大丈夫、とか、平気、とかよく言うし」 「はーん。そーなんだ――――……もうなんでもいいんだね、優月なら」  分かった分かった、と笑いながら流される。  確かにそうなのかも、と思うと、少し自分に呆れるが。    依存――――……されたいけど、多分優月はしないな。  ……そういうとこも。好きだけど。  でも、もっとすげえ甘えてくれてもいーけど。  んー。  まあ。    ……優月がどう言ってても、何してても、好きかもな。オレ。  優月が優月っぽく、喋って動いてるなら。嫌ではない気がする。  勇紀が面白そうにオレを見て、クスクス笑う。 「甘えてほしいとか、玲央の口から聞くとか。ほんっと信じらんないなー。後で皆と共有しとこっと」 「……は? やめろよな」 「えー。でもー。面白いから伝えたい。大事なとこだよ、これ。うんうん」  ウキウキと、楽しそうな勇紀。    ……また余計な事言ったかも。オレ。  は、とため息。  

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