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第425話◇

 玲央の歌も終わったのでまた音楽は止まって、皆好きなように話し続ける。  稔が玲央や勇紀達と騒ぎ始めて、少しオレと智也と離れた時。  智也が、オレを見て、クスクス笑い出した。 「なに? どしたの?」 「なんかさ。オレ、ここに来る前も、心配はしてないけど、とは言ったじゃん」 「あ、うん」 「ほんとに優月の人間関係を心配なんかは全然してなくて、どうやってこのメンバーと話してんのかなーと思ってただけなんだけど」 「うん」 「……なんか、皆、もう、優月の事結構分かってんだなーと思って」 「……オレの事?」 「うん。さっきも、稔が騒いでた時、優月は本気で言ってるから諦めろ、とか。言ってただろ?」 「あー……うん、言ってたね」  智也は笑いながら、オレを見つめる。 「居心地良さそうで、安心――――……つーのも変か。心配してなかったし。ますます安心したって感じかな」  そんな風に言われると。なんだか。  じっと智也を見つめてしまう。   「……なんか。ありがと。智也」 「ん? ありがと?」 「うん。なんか――――……今までもずっと、ありがと」 「はは。ずっと?」 「うん。……色んな友達いるけど。智也と美咲は、やっぱり特別なんだよね」 「あー、それ言うなら、オレもだな」 「あの幼稚園で、さくら組でよかったなーって思っちゃう」 「まあそーだな」 「懐かしーねー、幼稚園の頃」 「確かに。優月すげーちっちゃかった」 「智也だってちっちゃかったでしょ」 「お前特にちっちゃかったから」  2人で笑い合って。    「あ。そだ、美咲に今日会った時、来週ご飯って言ってた」 「ああ、来週になったの? 今週か来週ってとこまでは聞いたけど」 「うん、今週だとオレと合わないみたい」 「そっか、分かった。まあまた連絡来るだろ」  言いながら智也がスマホを取り出して。 「ていうか、もう来てる」 「ん?」 「美咲から」  智也が見せてくる画面を覗き込むと。 「来週の水木金なら大丈夫……オレも多分、大丈夫だよ。智也は?」 「オレ木曜は用事あるな。水金どっちかにするか」 「うん」 「そういや今日オレがここに来てるのって、美咲に言った?」 「ううん、そんなに話してないんだよね、予定だけ話していっちゃったから」 「何て言うかな、オレがここに居るの」 「うーん……」  何て言うだろ。  色々想像できるけど。 「…美咲って、さ?」 「うん」 「……基本は反対なのかな?」 「最初はそうだったけど。 まあ。あれじゃない? 様子見中」 「――――……」 「恋人になってからの玲央が悪さしなければ、その内認めると思うけど。別に男だからダメとかは言ってなかったし」 「悪さ……」 「うん」 「悪さって……」  智也の言葉を繰り返して、クスクス、と笑ってしまう。 「悪さって言い方、なんか可愛いね」 「――――……可愛くないぞ、意味?」 「分かってるけど。なんか悪戯っ子がするみたいな」  あはは、と笑ってしまうと、智也に苦笑いされる。 「――――……ほんと優月と話してると、力抜ける」 「ごめん。あ、意味は分かってるよ?」 「ほんとか?」  呆れたような顔で笑う智也に、ふふ、と笑ってしまう。

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