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第452話◇
「マジで、触んな」
もう一度言うと。
え、マジなの、玲央?と女子達が、周りで顔を見合わせてる。
「マジ」
そう言ってため息をつきながら、腕を解くと。
「誰??」
「そーだよ、大学の子?」
「教えてー」
「……教えない」
すぐそこに、居るけど。
オレが女に囲まれてても、なんか楽しそうだな~なんて顔をして、のどかに友達とご飯食べてるけど。
つか、ちょっとは気にしろ。
とか思いながら、女子の質問を無視していると。
オレが答えないと思ったらしく、矛先を稔に変えた。
「稔は知ってるの?」
「――――……さあ?」
知ってるくせに。
オレですら、稔が知ってるのか知らないのか迷うような調子で、肩を竦めてる。当然女子達も分からないらしく。
「知ってるの? 知らないの?」
「そうよー知ってるなら教えてよー」
と、言われても、稔はクスクス笑っているだけ。
と、ふと気づくと。
優月の所に、勇紀と甲斐と颯也が現れた。
多分こっちよりも先に、優月に目がいったんだろう、優月が、あ、と笑顔になって、勇紀達と何かを話している。
と、ふと、優月がこっちに視線を向けて、勇紀達に、あそこ、と教えている。
勇紀ら3人、その優月の視線を追って、こっちを見て、オレの状況を見て、は?という顔。
もう思ってる事は分かる。
何でオレは、ここで女子達に囲まれまくってんだって話と。
――――……その後3人は優月を見下ろして何か言ってる。
あれ、いいの? とか。そういう話だよな、絶対。
優月は、きょとんとして、オレの方を見てるけど。ニッコリ笑って何か言ってる。
「お前らもいい加減離れて、飯食えよ」
そう言っても、きゃあきゃあ騒いでる女子達を、やっと追い払った所に、勇紀ら3人がやってきた。
「れーおーくん」
勇紀が何か言いたげに、そんな風に呼びかけてくる。
「優月くんはまったく気にしてないけど、今のはどーかと思うけど……」
苦笑いでそんな風に言われる。
甲斐と颯也も、呆れたように笑いながら、隣に座る。
ち、と思わず舌打ち。
「お前、ふざけんな」
稔に鋭い視線を投げるが。
――――……分かってはいたけど、スルー。
「だってほんとの事じゃん」
クスクス笑ってすっとぼけている。
そのやり取りに笑いながら、勇紀が「何何、稔、なんかしたの?」と聞いてくる。
「いや。ちょっと女子達に、玲央は好きな子出来たからって伝えただけ」
その言葉に、3人は、ああ、それであんなに絡まれてたのか、と納得の顔。
「お前ら飯は?」
「食べてからこっち来た」
颯也がそう答えて、オレを見る。
「なんか夏休みの話が出たって勇紀が言うからさ。考えてた事話そうと思って、来たんだけど」
そこまで言って、颯也は視線を優月の方に向けた。
「……優月って、マジで妬かないのな」
クスクス笑いながら、オレの顔を見て、なんだか益々おかしそうに笑い出す。
「何だよ」
「……妬いてほしいんだもんなあ? 玲央」
「――――……」
少し先で、楽しそうに話してる優月に視線を向けてから、はー、と息をついて、片肘をついた。
「オレが腕組まれてても、楽しそうだなーみたいな顔で笑ってるからなー…… まあ……優月っぽくて、良いんだけど」
言ってても仕方ねえなと思い、ふ、と顔を起こす。
「もーいーや。これ言ってても、どーにもなんねーし。それより、夏休みの考えてた事って何だよ?」
「いーのか、そっちの話に行って」
甲斐がニヤニヤしながら言う。
「良い。もう、優月にそれ求めても、無駄だから」
「つーか、玲央がヤキモチを求めるとか、マジで意味が分かんねえ」
「るせー」
ますますため息。
オレだって、意味がわかんねーし。
マジで、優月の、のほほんとした笑顔見てると、脱力する……。
まあ。
――――……すげー可愛いとも。思うんだけど。
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