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第454話◇

「何か所位、まわるかだよなー?」  勇紀の言葉に、颯也が考えながら。 「とりあえず皆予定があるなら、その時期外すとこから考えればいいんじゃないか? 皆が空いてる時期に、どれくらい回れるかで、それで場所も決めて……」 「オレ別に夏は何もねえよ」  甲斐がそう答えながら、ふと、オレを見て、「玲央は?」と聞いてくる。 「ああ、オレも今からならまだ予定入ってねえからいつでも……」  そう答えながら。優月に触ってた奴が離れたのを見て、何だか少しほっとするような、変な気分。  何だかモヤモヤしている所に、今度は女子達が、優月たちの席の周りに立った。  知り合いの顔を見ると、挨拶がてら立ち寄る。ものすごく、ただ、何気ない風景なのだが。  何かを話しかけた女子の方を見上げた優月の頬に、一人の女子が、そっと触れた。  少しじっとしてる優月が手が離れると同時に、すぐに笑って何かを言ってる。  ――――……。  いや。分かってる。  もう完全に、今のが何かは、ちゃんと分かってる。  髪の毛とか。まつげとか、とにかくそれ系が顔についてたから取ってもらって、すぐありがと、って、言ってるだけ、だろう。  と。分かりはするのだけれど。  すげー、不快……。  ……優月は、とにかく、可愛いけど。   「……勇紀さ」 「うん?」 「お前、よく優月の事可愛いっていうよな」 「――――……うん。まあ。だって、可愛いじゃん?」  何を突然、という顔で、オレを見てくる。 「……あ、いいや。やっぱりなんでもねえ」  オレは今一体何を話そうとしたんだ?  自分で何が言いたいのかすら、よく分からなくなってきて。首を振りながら、そう言って話を終わらせようとした。  がしかし。終わらなかった。 「えー、何何? オレが可愛いっていうの、もしかしてムカついてんの??」 「……あー、悪い。別にそうじゃねえ」 「だとしたって、何で今急に? オレ今優月の事可愛いとか、言ったっけ??」 「言ってない」 「何なの、玲央、気になるじゃん」  勇紀がぎゃいぎゃい騒いでて、あー、うるさいと思いながら、自分が変なこと口走ったせいかとも思い、反省。 「だから――――……お前は可愛いと思うんだよなって事」 「うん。可愛いよね? ぽわぽわんとしてて。でも結構しっかりしてるとこもあるし。でも、ふわふわーとしてるし」 「――――……」 「しっかりしてるとこもあんのに、なんかぽわぽわーってしてるから、余計可愛いのかも。 ……で? 何で?」 「だから、恋愛感情とか無くても、可愛いって思うってことだよな」 「……うん。オレ、優月には恋愛感情ないよ?」  えー何なの、ほんとに……と、眉を顰められて、脱力しか感じない。 「え、まさか疑ってないよね、そこ。オレ、ほんとに一切無いからね?」 「分かってる」 「じゃあなんだよー、何で改めて聞くの? 気になるじゃん」  勇紀が眉をひそめてて、甲斐や颯也も何だか笑いながらオレを見てる。 「つかさー」  甲斐が、可笑しそうに笑いながら。 「今ライブとかの話をしてんのに、優月が可愛い話しだすとか。お前ほんと、溶けてんな」  甲斐にそんな風に言われて、ムカつくが。出だしが出だしの話だったので、何だか否定も出来ず、缶コーヒーを煽った。

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