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第455話◇

「マジでさ、何が言いたかった訳? 気になって、夏の話できない」  勇紀が、もー早く言えよ、みたいな感じになって来た。 「……優月って、可愛いか?」  皆、何秒が止まった後、めちゃくちゃ笑い出した。  稔と勇紀なんて、大爆笑。 「つか、うるせえし」  まわりがめっちゃこっちを見てくる。  優月の視線も飛んできてる気がするが、今は目を合わせないでおくことにした。 「だって――――……」  ぶはははは、とまたも大笑いの勇紀と稔。 「もーなんなの、玲央」 「そーだよ、ヤバいの分かってたけど、ほんとヤバいな」  こいつら程じゃないにしろ、甲斐と颯也も可笑しそうに笑いながらオレを見る。 「お前ら、何がそんなにおかしいんだよ」 「だってさ、玲央」  颯也が口元おさえながら、オレをまっすぐに見る。 「玲央は、可愛いと思ってる訳だろ?」 「……あぁ」 「で、さっきから、勇紀は、優月が可愛いって言ってるわけじゃん」 「ああ」 「なのにもっかい、可愛いかってさ。何なの、頭ん中、優月が可愛いって事しかない訳?って思う――――……よな?」  颯也がそう言うと、皆、すげー同意してくる。……うざい。 「そーだよ、何なの、オレ達全員に、可愛いって認めさせて、よしよし、とか満足したいのかなーって思っちゃうじゃんか」  稔の言葉に、は?と睨み、「ちげーわ」と呟く。  じゃあなんなんだよ?と勇紀がまだ笑いながら聞いてくる。  何聞こうとしてたんだっけ。とムカつきながら。 「だから……優月の頭を、撫でたりしたくなるかってこと」  オレの質問に、また数秒黙った後、   「……はーー??」  口々にそんなような音を発して、オレを見てくる。 「……もう良い」   オレが完全に口を閉ざそうとしてる気配を察知してか、勇紀が笑いを抑えてる。こういう対応を変えたりするのは、勇紀が早い。稔はまだけらけら笑ってる。 「もう益々意味わかんねーけど……ああ、でもオレは、前から優月の頭、撫でてたかも。なんかイイコイイコしたくなっちゃうんだよなーって……こういう話が聞きたいんじゃない?」 「いや。……そうなんだろうなと思って聞いただけ」 「――――……??」  勇紀がよく分からないと言った顔で、ふと、背後の優月を振り返る。 「ああ――――……優月が今誰かに撫でられてたとか、そういう事?」  なんかほんと、こういうとこ。  楽なような、嫌なような。 「あたり?」 「――――……なんか良く触られるなーと思って」 「いやいや、玲央程じゃないでしょ。なあ?」  呆れたように言う勇紀に、周り一同、うんうん頷き出した。 「女子の玲央への絡み方って、すごいもんな?」 「優月の事気にする前に、触られない対策した方がいいよ?」  甲斐と勇紀がそんな風に言って、苦笑い。 「まあ、優月はきっと、男にも撫でられちゃいそうだからな。だからやなんでしょ」 「――――……」  ほんと勇紀は――――……言ってない事まで読み取るの、得意だと思う。 「あ、もしかして、オレが撫でるのも嫌?」 「――――……お前が撫でるとこ、見た事ねえけど」 「ああ。玲央の前ではやってないかなもしかして。あーよかった。これ、防衛本能が働いてたのかなあ?」  クスクス笑って、勇紀が胸をなでおろしている。  問われた颯也が、苦笑いで、そうかもなと答えてるし。  ――――……まあ。撫でたくなるのは、分かる。  オレ、どんだけ優月の事撫でてるか、自分でも、ちょっと呆れる位だし。

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