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第457話◇

 そのまま、すっぽり胸の中に閉じ込めるみたいに抱き締める。  なんか抱き締めてるだけで、心の中があったかくなるような感じ。  ――――……ほんとこんな風になるの。  生きてきて、初めてなんだよな……。 「さっきね、友達と話してる時さ」 「ん」 「壁ドンした事ある?て話になってさ」 「……ああ、それで」 「皆した事ないって言ってて」 「……まあ、そんなしないんじゃねえの? 囲うだけならありそうだけど。ドンって音立てると、びっくりされるしな?」  腕の中の優月を見て、クスクス笑うと。  優月も、ん、そだね、と笑った。 「1人がさ、イケメンしか許されない、とか言い出して。ふーん、て思ってたんだけど……あれだね、ちょっと乱暴になるからそう言ってたのかなって、それは今分かったんだけど」  クスクス笑いながらオレを見上げて。 「話してる時、イケメンしか許されないなら、玲央は許されるよねって思って。それで、やって、って頼んだんだよ」 「……許された?」  ふ、と瞳を緩めて、優月は、口元を綻ばせて。 「うん、許された。ていうか……玲央?」 「ん?」 「――――……すっごく、好き」  ぎゅー、と抱き付かれて、ふ、と笑んでしまう。  「さっきね、玲央」 「……ん?」 「……玲央の周りに女の子がいっぱい居た時……」 「――――……」  優月からその話が出るとは思わなかったので、意外だなと思いながら、次の言葉を待っていると。 「玲央となんか、目が合ったでしょ」 「ん」  ……お前は楽しそうに笑ってたけどな。  思いながら聞いていると。 「人気あるなー……と思って見てたんだけど」 「……」  だろうな。そんな感じだった。 「なんか玲央が、すごーく複雑な顔してて」 「――――……」 「……ちょっと考えて――――……オレが平気そうなのが、やなのかなって、思ったんだけど、そう……??」 「――――……」  この言い方だと、本気で平気で、全く嫌じゃないんだろうなと思って、もう苦笑いしか浮かばないが。オレの顔を見てた優月が、ちょっと首を傾げて、やっぱりそうなの?と見つめてきて。 「でも、オレ、玲央の事信じてるし」 「――――……」 「だから平気なんだけどね」  クスクス笑いながら、優月の手が、オレの背中に回ってくる。  ――――……可愛い。 「優月……キスして良い?」 「――――……どんな、キス……?」 「んー……めちゃくちゃ激しいやつ?」 「……やだ。無理。授業、無理になっちゃう」  答えは分かっていたけれど、優月が焦ってるのが可愛い。 「ん、じゃあ触れるだけ」 「――――……」  うんうん、と嬉しそうに笑う優月に、ちゅ、と優しく唇を重ねる。  離して見つめると。  優月からも近づいて、軽いキスが重なってくる。  朝まで一緒だったのに。  あと2コマ授業が終わればまたずっと一緒なのに。  ……と思いながら。あと2分かと。  時間が惜しいって。  ほんとどーかしてる。 (2022/4/25) 壁ドン求めた理由♡ 去年はよく1日2回更新してたなあと思って。 たまには(*'ω'*)♡

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