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第458話◇

 クスクス笑ってる優月に、何度もキスして。  何笑ってる?と聞くと。 「なんか――――……嬉しいと笑っちゃうでしょ」 「嬉しいのか?」 「……だって、嬉しいよ。――――……もう少ししたら教室行って、授業終わるまでは話せないと思ってたし」 「――――……」 「呼んでくれて、嬉しい」  ――――……こう言っとけば可愛いとか。計算とか。  きっとそういうのは、欠片もないんだろうなぁ、と思う。  気持をただ、まっすぐに伝える。普通なかなか出来ないと思うけど、と、不思議でならない。 「……はやくじーちゃんとこ行って、早く優月んちいこ」 「……ん? え? 何で急に?」  きょとんとして、オレを見上げてる。 「オレ、お前の家族に会いたい」 「――――……?? うん、会って、欲しい、けど……?」  ものすごく不思議そう。 「……優月がどんな人たちの中で育ったのか、見たい」 「――――……うん……??」  語尾はとても不思議そうだけど。  クスクス笑って、頷いてる。 「普通だけど、うち」 「ん、まあ。――――……でも、楽しみにしてる」 「……うん、分かった」  ふふ、と笑う優月。  まあ、弟妹が同じような性格ではないだろうし、てことは、家庭はまあ多少関係あるにしても、持ってうまれた性質が大きいのだろうけど。それはまあわかってんだけど。でも早く会ってみたいと、何度も思う。……付き合ってる奴の家族にまで会いたいとか、完全に初。  オレは、優月のこの感じが、とてつもなく、愛しいみたいで。  ――――……可愛くてしょーがない。 「あとでじーちゃん連絡しような」 「うん」  ちゅ、と頬にキスすると、くすぐったそうに、ふふ、と優月が笑う。 「あ、久先生もって、希生さん言ってたね。聞かないと」 「ああ」  頷くと、優月は、くす、と笑った。 「玲央と、久先生と、希生さんとオレって――――……」  そう言って、そこで言葉を切って、オレを見上げてくる。 「……希生さんと玲央が繋がってると思ってなかったから、不思議すぎるし」 「オレだって、じーちゃんが優月の教室に居るとか、謎すぎたけど。幻かと思うとこだよな。まあ殴られたから、幻な訳なかったけど、意味わかんなかった」 「そだね。蒼くんと、玲央の希生さんが繋がってるのだって、よく考えたら、不思議すぎるし……」  可笑しそうに笑って、それから、優月はオレの腕の中にもう一度収まった。すり、と髪の毛がオレの顎に触れる。 「――――……なんか、色々繋がってる感じがして、嬉しいね」  はー。…………マジで、かわいーし。  むぎゅ、と抱き締めた時。  予鈴が鳴り響いて。がっかり。まーもともとタイムリミット、分かってはいたのだけど、それでも、うんざりしてしまう。 「……あと2コマ。頑張ろっか……」 「……そうだな」  優月の言葉に頷いて、優月を腕の中から、起こす。両頬、手で挟んで引き寄せて、大事にキス、すると。  めちゃくちゃ嬉しそうに微笑む。 「――――……これ、好き」 「これ?」 「顔包まれるの。玲央の手が、好き」 「――――……」  ああ、もう、可愛い。  もう一度キスして。 「――――……あとでめいっぱい包むことにする」  そう言いながら、スリスリと頬を撫でて、ぷに、と摘まんでから手を離すと。優月は楽しそうに笑って、ん、と、頷いた。  ――――……昼休み、終了。

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