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第459話◇

【side*優月】  鼻歌、歌いたい。  ふんふん、歌ってたい気分。  ――――……授業中だけど。  ちょっと気を引き締めて、 教壇の教授を見つめる。  昼休み、最後の10分、玲央と過ごした。  優しいキスだけ、してくれて。抱き締めてくれて。  なんか、幸せな会話だけして、別れてきた。  ――――……好きすぎ……。  ……好きで困っちゃう位、好きだなあ……。  ご機嫌で3限の教室に来たら、皆に突っ込まれた。  何か、ツヤツヤしてるけど。とか。  ご機嫌すぎて、笑える。とか。  幸せオーラが見える。とか。  散々色々突っ込まれてしまった。  そんなに言われるほどオレ、そんな感じ……?と思ったけど。  まだ何も話してもなく、顔を見られた段階でそんな風に言われたので、まあきっと、そんなだったんだろうなあと、思って。  特に否定する事もせず、ふふ、と笑ってたら。  「このー」「昼休何があったー?」と、髪の毛、ぐしゃぐしゃに撫でられて。  そこで教授がやってきたから、皆の追及から解放された。    何があったって、程じゃないような。  ……玲央と一緒に、10分だけ、くっついて過ごしただけ。  ……ていうかあれ、10分じゃなくて、1分でも、オレ。  すごい幸せになれちゃうかもしれないなあ……。  玲央の手がオレに触れて。近くに引き寄せられて。見つめられただけで。  気持ちの温度が、すぐ上がる。  びっくりする位、すぐに熱くなって。なんかもう。  幸せな気分で、いっぱいになってしまう。  玲央って、すごいなあ……。  先生の板書をノートに写しながら、そんな風に思う。  玲央がオレを幸せにしてくれてるみたいに。  オレも、玲央を幸せにできてれば、嬉しいけど――――……。  そう思いながら、思い浮かべるのは、玲央の、オレに触れる時の笑顔。  ――――……うん。  幸せって……思って、くれてる気が、する。  玲央は、めちゃくちゃ、優しい顔で、笑ってくれてるから。  多分。お互い。幸せって思えてる、気がする。  ……それって、すごく、幸せな事だよね。  久先生に日程聞いて……希生さんの所に行って。  そしたら、玲央と、オレの実家に行って。  一緒に暮らしたいから、マンション解約、してもらう。  ――――……みんな、どう思うんだろ。  まあきっと、父さん母さんは、仲の良い男友達と同居するんだな、位で思うのかな。  双子たちは――――……何て言うかなあ。  ていうか、玲央を連れて行った時点で、超イケメンだって、大騒ぎな気がするから、一緒に暮らすとか言ったら、更に大騒ぎなのでは……。  もしかしたら、オレらも一緒に暮らす、とか、言いかねないなあ。  なんか大騒ぎになりそぅ。  玲央にあらかじめ、そんな感じだよって、言っておこう。  ――――……あれ、でもなんか、何回も、オレの家族見てみたいって。  何回も言われてるような。  面白いと思ってるのかなあ。オレの家族。  ……まあ双子は面白いけど。    玲央が何でそんなに見たいのかよく分かんないけど、多分予想以上の大騒ぎ、しそうだからなあ。玲央、びっくりしちゃうかも。  苦笑いしか、浮かばないけど。  なんか――――……そんなのも。  玲央がオレの家族に会って、大騒ぎに巻き込まれてくれる、のも。  なんか。  すっごく、嬉しい。かも……。      

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