746 / 850
番外編「金木犀」
番外編♡ちょっと息抜き。
さらっとお読みください( ´∀` )
◇ ◇ ◇ ◇
「あ」
「ん?」
少し歩いて夕飯を食べに行った帰り道。
行きとは違う道を散歩していると、ふわ、と香ったいい香り。
「金木犀だ」
「ああ」
二人とも、自然と辺りを見回して、金木犀の樹を発見。
綺麗にまあるく刈り込まれた大きな樹があった。
近づいて、その下にいくと、更に香る。
「オレ今年の秋、初だよ、金木犀の香りー」
「それ言うなら、オレもだよ」
玲央の言葉に、そうなの?と嬉しくなって振り返る。
「一緒に初めてって嬉しいね」
そう言うと、ふんわり笑って頷いてくれる玲央。
「金木犀の花って、めちゃくちゃちっちゃくて、可愛いよね」
「……あんまりちゃんと見たことないかも。集まってるイメージがあるけど」
「来て来て?」
樹にさらに近づいて、一緒に見上げる。
「ああ……確かに小さいな」
「いっぱいわーって咲いてるから遠くから見ると大きく見えるよね。でもすっごく小さくて可愛くて、なのにこんな良い匂いですごいなーと思って」
言いながら、隣の玲央を見上げると。
ふ、とオレを見て、瞳を優しくして。
くっついてるまま、ちゅ、とキスされた。
「……!」
「誰も居ないし、暗いから平気。そんなキラキラ見られてくっつかれたら、するだろ。ていうか」
「……?」
「もうキスしない方がおかしいって感じだけどな?」
玲央がクスクス笑って、オレの頭をなでながら、「いこ」と歩き始める。
玲央に楽しそうに、流し目されると、もう何も言えなくなるオレ。
いいんだけどね、見られてないなら。
キス、嬉しいし。好きだし。
「そういえば、桂花茶 って知ってるか?」
「けいかちゃ?」
玲央の口から出た聞き慣れない言葉。
ん? と首を傾げる。
「金木犀のお茶だって。今日スマホニュースでみかけてさ」
「そんなのあるの??」
「あるらしいよ。甘い香りが楽しめるお茶だって。飲みたい?」
「飲みたい♡」
「じゃあ取り寄せる。ネットで買えるって」
「わあ、楽しみすぎる。ありがとう~!」
めちゃくちゃ喜んでいると、玲央がクスクス笑った。
「道でキスしたの許してくれる?」
冗談ぽく言う玲央に。
「ていうか怒ってないし」
ふふ、と笑うと、玲央の腕にちょっとつかまる。
「人居ないから、触ってていい?」
「つかまってんのも可愛いけど……手をつなぐっていうのは?」
「……そっちがいいかも」
見つめ合って、ふ、と笑って。
手を繋いで歩き出す。
「夜とか涼しくなってきたから、くっついて歩くの、ちょうどいいね」
「手つないでてもバレないしな」
「ふふ。あ。また香ったかもー」
「ほんとだ」
「いい香りだよね。幸せ」
「一緒に居るしな」
「うんうん! そだね!」
ふ、と笑って、玲央を見上げると、玲央がちょっと止まってオレを見つめる。
「優月笑ってると、キスしたくなるよなー……」
「……そんなこと言うの、玲央が初めてなんだけど」
「ほかに言われてたら困るし」
「だから、言われないってば」
「これから言われても、させちゃだめだからな?」
「……当たり前。ていうか言われない……」
繰り返す同じやりとりに笑ってしまう。
「帰ったらいっぱいキスしよ」
「えっ」
「嫌?」
「……いい、ですけど……」
「じゃあよろしくお願いします」
クスクス笑いながら言い合って、寄り添いながら、人気のない道はずっと手を繋いで歩いた。
なんだかほんわか、幸せな、初秋の夜だった。
(2023/10/18)
金木犀が道で香ったら、ちらっとこの話、思い出してくれたら嬉しい…( ´∀` )
桂花茶はお店で飲んだ時は美味しかったですよ~(*´艸`*)
おいしいというか、香りを楽しむものかな(´∀`*)ウフ
これは、明日にはどこかにうつすか消すかしようかな。
ちょっと考えます~。
10/19
→全サイト、全部の話の番外編をどうするか決めるまでここに置いとかせてください。しばらくかかるかも…(^^;
ともだちにシェアしよう!