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第765話◇
あ、もちろん。
今の玲央が一番好きだし、きっとこの先の玲央がずっとずっと一番好きなのだけど。……高校生の玲央は。それはそれで、今のオレから見たらちょっと可愛くもあるかも。ふふ。
なんて考えていたら、ニコニコしてしまっていたみたいで。希生さんからお菓子をもらってる玲央が、ちらっとオレを見て、苦笑い。
「何考えてンの?」
「ん?」
「めちゃくちゃご機嫌だけど」
玲央がそんな風に言うから、皆がオレを見る。
……高校生の玲央が可愛かったに違いない、なんて、言ったら変かな。と思いながらも。こんなところで咄嗟に嘘をつける筈もなく。
「昔の玲央って、可愛かったんだろうなぁ、て」
そのまんま言ってしまったら、玲央がちょっときょとんとした後で、希生さんから。
「可愛くはないよ?」
とツッコミがすかさず入ってきた。
「下手にモテるし人気があるもんだから、有頂天だしな?」
「じーちゃん……」
「勇紀は可愛かったな」
クスクス笑って、希生さんか言う。ん? 勇紀?と希生さんを見た瞬間、あ、そっか、学校も行ってて、皆も希生さんを知ってるって言ってたっけ。
「勇紀は、玲央より先に友達でした。勇紀、可愛かったんですね」
ふふ、可愛いと思う……なんて笑ったら、希生さんに「勇紀はどこで知り合った?」と聞かれて。
「具合悪いところに通りかかって、たまたま……去年会ってからずっと仲良しです」
「勇紀と優月くんが仲が良いのは、なんだかすごく納得いく」
クスクス笑う希生さん。ああ、と蒼くんが声を出した。
「勇紀って、打ち上げで、オレ会った?」
「あ、うん。話してたよ、蒼くん」
「ああ。覚えてる。人懐こい子だよな……確かに、仲良いの納得」
そんな風に笑う蒼くんに、希生さんが首を傾げる。
「蒼も知ってるのか」
「ほら、オレはライブの打ち上げ、優月についてったから。……ってより、希生さん、よく知ってる、と思うけど」
「じーちゃんはオレの学校にしょっちゅう来てたから。しかもオレの友達にめちゃくちゃ話しかけるから。じーちゃん有名だし……」
玲央の苦笑いに、皆、可笑しそうに笑う。
「蒼くんもオレの友達に有名だよね」
「……別にオレ、そこまで話しかけてねーけど」
「立ってるだけで目立つし。蒼くんがくると、大騒ぎになるんだもん」
思い出すと、なんかすごかった記憶しかない。
イケメンだーイケメンだーって。面白かったな。クスクス笑ってると希生さんが立ち上がって、お茶を皆の前に置いてくれる。
「まあ、食べて」
「いただきます」
袋を開けて、一口。「あ、美味しい」と希生さんに言うと、よかった、と笑まれる。「玲央、これ美味しいよ」と玲央の方を振り返ると。これまた、にっこり微笑まれて。
ふと。なんかそっくりな感じで、笑われた。
希生さんと玲央って。やっぱり似てるなあ、なんて思うと。
自然と笑ってしまう。
「優月を見る感じが、そっくり」
正面に座ってた蒼くんが、オレが考えていたことを、短くずばりと言って、横で久先生が笑っている。
一瞬何のことか分からなかったらしい、希生さんと玲央は、ぱっとオレを見て、オレが二人を順番に見つめ返すと。二人苦笑い。
「似てる?」
玲央がちょっと嫌そうにオレに聞いてくるので、んん、と固まっていると。
「絶対似てる」
と蒼くん。
「まあ、もともと雰囲気も似てるしね」
クスクス笑って言う久先生。
そうだよねえ、似てるよねぇ。
ふふ、と笑うと、玲央にちらっと視線を流された。
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