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第766話◇
お菓子を食べながら、高校生の頃の話をしていたら、そうだ、学校の文化祭とかに行った時の写真ならあるよと希生さんが言い出した。見たい? と聞かれて、見たいです!と即答。
お茶を飲み終えてから、また場所を移動して、ふかふかの絨毯の上に座って、ローテーブルで写真鑑賞会。
希生さんが写真を持ってきてくれるのを待つ間、わくわくで飛びそうな気持でいると、玲央に「ウキウキしすぎ」と笑われた。
何冊かの薄いアルバムとともに、希生さんが戻ってくると、「写真を差し込んでるだけのアルバムだけどいい?」と聞かれた。
「もちろん! 写真見れるだけで」
わー、もう嬉しすぎる。
来て良かった。
希生さんからアルバムをいくつか受け取ってテーブルに置きながら。
隣に座った玲央を見ると、「そんな喜ぶ?」とクスクス笑われる。
「制服姿見たかったし」
そう言ったオレの隣で、希生さんが一冊のアルバムを開いてくれる。
「わー」
大喜びで希生さんの手元を覗きこむ。
「若いね、玲央くん」
久先生も覗いて、ふふ、と笑う。
可愛いしカッコいい、玲央。
ウキウキしながら、今より大分ツンツンしてる感じの、玲央を見る。
「こっち、学園祭のだよ」
そう言って希生さんが一冊渡してくれたので、玲央と二人で、同じアルバムを覗き込んだ。
多分希生さんのカメラに、撮んなくていいからとか、きっと言ってるんだろうなという表情。でもその後、苦笑いでカメラ目線とかしてる玲央に、きゅんとする。
わー。かわいい。
ていうか、希生さん、写真上手―。
玲央が友達と、楽しそうにしてる姿とか、すごく生き生きと撮られてる。
「ぁ。勇紀達も居るね。わーほんとだ、勇紀可愛い」
このころはまだカッコいいってより可愛いかも。
今のオレが見てるからかな。当時も当時でカッコよかったのかもしれない。
めちゃくちゃ楽しくて、笑いながら見てると、部屋を出ていた蒼くんが戻ってきて、オレ達のところに近づいてきた。
「なーにをキャッキャッしてンだよ?」
苦笑いの蒼くんを見上げて、「キャッキャッなんてしてないけど」と言うと、「それ以外の何物でもないけど」と笑われる。
「ああ、何。玲央の高校生の頃の写真?」
言いながら、ひょいと写真を手に取って。
「すげー尖がってるって感じするな?」
蒼くんが写真を見ながら、そんな風に言って、クスクス笑う。
すると、久先生がすかさず。
「蒼だっていい勝負だったと思うけど?」
「えーそんなことないよ」
苦笑いの蒼くん。
「優月、覚えてるでしょ、高校生の蒼」
「あ、はい」
こくこくめっちゃ頷く。
出会った頃の蒼くん。めちゃくちゃカッコいいお兄ちゃんだった。
ぱっと見怖かったかも? 尖ってる、とか言ったら、そうなのかもだけど。
でもなんか、いつのまにか仲良くなったら、冗談とかからかうのが好きな、絵のうまい、なんだかんだ、優しいお兄ちゃん。まあ仲良くなればなるほど、からかわれまくっていた気はするけど。
「口癖は、めんどくさ、とか。口開くとそんなのが多かったしなあ……」
久先生に言われて、「そうだっけ?」と蒼くんはすっとぼけている。
(2023/11/20)
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