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第836話◇
散歩から帰って、ドアを開けると、蒼くんが階段から降りてくるところだった。
「おはよー蒼くん」
「あぁ、おはよ。朝から散歩か?」
「うん、玲央の鯉見てきた」
ああ、なるほど、と蒼くんが笑う。
「あんなにたくさん派手なのいても、目立つもんな。玲央っぽい」
「おんなじ話をしてきたよ」
ふふ、と玲央と笑いながら、リビングのドアを開けると、希生さんと先生も起きてた。朝日が差し込む部屋はなんだかすごく眩しい。
「おはようございます」
すがすがしいなぁ、と思いながら挨拶すると、「どこ行ってたの」と希生さんに笑われる。
「玲央の鯉見てきました」
そう言うと、ふ、と笑われる。「気に入ってくれて良かった」と笑う希生さんに、うんうん頷いてると、玲央が隣で笑う。
「金の鯉なんてそんな見ないもんな……」
「うん。黒だよねぇ、よく見るのは。公園とかで見る」
「おそろいで金髪にでもしてみたら?」
蒼くんが面白そうにそんな風に言う。あはは、と笑ってから、ふと、玲央をじっと見つめる。
…………金髪の玲央?
……蒼くんの冗談かと思ったけど、金髪もありでは……? 似合う気がする。うーん、と玲央の髪に金髪を妄想でのせていると、蒼くんが、おい、とオレをつついた。
「お前今玲央を金髪にしてただろ」
「えっ。……あ、うん。似合う、なーと……」
皆に笑われて、ちょっと困ってると、玲央が自分の髪を少し引っ張って、見つめる。
「金? してみる?」
「えっ」
なんでもないことのように言うので、玲央を見上げると。
「勇紀が金にしてたことあるし。ライブハウスとかでは、そんな珍しくないから」
「えええええ……」
普通のことのように言う玲央に、そうなの? と頷きつつ。
金髪の玲央の妄想を続けてみる。
出来上がった、金髪の玲央は。
「……めちゃくちゃカッコいいかも」
そう言ったオレに、蒼くんが呆れたみたいに笑う。
「優月はもう、玲央なら、なんでもいいんだろ」
「そ、そんなことないよ、ちゃんと、似合うか考えてみたもん」
「お前、玲央が青でもピンクでもいいって言いそうだけどな」
「そ。……んなことない……と思うけど」
ピンク……? 可愛い……??
「……ピンクはあんま居ないかも」
玲央が苦笑しながら、オレの頭をぽふぽふと叩くと。
「今度大学のライブん時、金髪にしてみようか」
「…………」
軽く言いながらオレを見る玲央につい、うんうん頷いてしまう。
「勇紀たちとかぶらなかったらな? 話してみよ」
「うん」
嬉しくて頷いてると、希生さんが、「金か。鯉と揃いにするわけか」と笑う。ちげーし、と玲央が苦笑いしてるけど。……あれ?
「え、違うの? あの鯉と、お揃いの綺麗な金色がいいよね。キラキラの……」
ふふ、と笑ってそう言うと、玲央はオレを見下ろして、「マジで鯉とお揃いって意味なのか?」と苦笑い。
希生さんも先生も可笑しそうに笑ってる。
「そのライブいつ?」
蒼くんが面白そうに聞いてくる。
「来月だよ?」
「出る時間とか決まったら教えて」
「ん? あ、見に来る?」
「行けたらな」
うん、と頷いたところで、希生さんが朝食にしようと言ってくれたので、テーブル席についた。
蒼くん、オレの学校行事に来てくれてたみたいに、玲央のバンドも来てくれちゃうのか……。こないだのコンサートの打ち上げ来てくれたけど、あれはお願いしたからで。……今回は、蒼くんから言ってくれた。しかも、ライブをを見ようとしてくれるって。なんか、すごく、嬉しいなあ。
……んーと。とにかく……。
玲央、金髪。
……楽しみすぎる。
◇ ◇ ◇ ◇
(2024/5/21)
色んな水族館の生き物ありがとうございました。
正解とかじゃないので……それぞれ楽しい(´∀`*)ウフフ
ちなみに私は 玲央はイルカかな。……シャチかな?と。
優月はペンギンしかないな、て思ったんですかけど、ゴマフアザラシ(赤ちゃん)もいいなあ……と( ´∀` )
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