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第837話◇
おいしい朝食を楽しく食べた後、玲央がお茶をたててくれるってことで、和室に行くことになった。玲央と希生さんに先に行ってと言われて、久先生と蒼くんと二階への階段を上がる。
蒼くんがふとオレを見て、優月って、と話し出した。
「お茶は習ったこと無いよな?」
「無いよー。ていうか、お茶習ってる人なんて、近くに居なかったと思うけど」
笑いながら言うと、蒼くんも先生も、そうか、と笑ってる。
「でも、小学生の時に授業でやったの。好きな和菓子をもって来て良いっていって、ちゃんと泡立てるみたいなあの……あの……?? なんだっけ??」
首を傾げていると、「|茶筅《ちゃせん》かな」と蒼くんが笑う。
「あ、そうそれそれ! ちゃんと混ぜ混ぜして泡立てて飲んだよ。なんか、茶道の先生を呼んで、日本の伝統を学ぶ、みたいな授業だったんだ」
「なるほどな」
「決まりが色々あるんだよね? 真似すればできるかな?」
「しなくていいよ。多分玲央が、自由にしろって言うから」
クスクス笑う蒼くんに、それでいいのかな? と言いながら、和室の中に入る。
「やっぱり、畳っていいなぁ……」
和室に入ると、何だか身が引き締まるような、そんな感覚。
昨日も見たけど、窓の外が和風の庭園みたいで。ここに居ると、洋風な建物の中っていう感覚が消える。すごいなぁ、とぼんやり見つめていたら、玲央と希生さんが入ってきた。
「お湯はポットから入れるし、細かい作法はいいよ。楽しんで」
そんな玲央の言葉は、皆にというより、オレに向かって言ってくれてるとしか思えない。希生さんも隣で笑ってくれてるから、それでいいみたい。
「うん。ありがとう」
「食べたばかりだから小さめの和菓子、貰ってきたし。食べるだろ?」
玲央の手元に、可愛くて綺麗な和菓子が並んでる。うんうん頷いてると、希生さんが赤い敷物を、窓際の方に敷いてくれてる。奥の方に玲央が座って、促されて、玲央を前にして同じように正座。畳に、ちょっと変わった赤い敷物、その上に正座なんてしてしまって、より一層気が引き締まったところで、蒼くんがオレを見て苦笑。
「すげー緊張してるし。楽しんでって言われたろ」
「楽しいよ? 楽しいんだけど、畳の上でこんな布を敷いて正座って、やっぱり神聖な気持ちになるなって」
「この布、毛氈って言うんだよ」
「もうせん??? ……初めて聞いた言葉かも……」
へえええ、と頷いていると。
「緊張しなくていいよ」
玲央もクスクス笑いながら、和菓子を分けて、渡してくれる。
「食べながら、見てて」
「食べてていいの?」
当然のように待ってようと思っていたので、そう聞き返すと、希生さんも「いいよ」と笑ってくれる。
「ちゃんとした席でも、先に食べるよ。お茶をたてる人が、もてなすってことだから。おさきにいただきますって」
静かな蒼くんの言葉を聞きながら頷いて、希生さんたちが先に食べ始めてくれたので、オレも「いただきます」と言って、和菓子を切って口に入れる。
……やっぱりちょっと緊張するけど。美味し。
ふ、と微笑んだら、玲央が気づいて、オレに視線を向ける。
「美味しい?」
「うん」
「それは良かった」
クスクス笑いながら、玲央がお茶碗にお茶の粉を入れる。
お湯を入れて、丁寧な動作で、泡立てていく。
――――……玲央の指は、綺麗。
オレに、触る時も。ギターを弾いてる時も。料理を作ってる時も。
いつも、綺麗だなぁって、思う。
つくりが綺麗なんだけど、それよりも、動きが綺麗なんだと思う。
雑な感じが全然しなくて。……オレ永遠に見てられるかも。
玲央が泡立ててる茶筅の音だけがして、すごく静か。
素敵だなぁ……と、ぽー、と見つめていると、玲央がいれてくれたお茶が、皆の前に置かれていく。希生さんたちが微笑んで、飲み始めるのを見て、オレもお茶碗を手に取った。
綺麗。花の絵が描いてある、少し底の広いお茶碗。
両手で持って、静かに口を付けた。
――――……美味しい。きめ細かい泡がふわふわしてて。和菓子で甘かった口に、心地いい。あ、だから先にお菓子を食べるのかな。なんて思いながら、ゆっくりお茶を飲んでいると、玲央も、静かにお茶碗に口を付けた。視線が下を向いてるので、綺麗に瞳が閉じてるみたいに見えて……。
久先生と希生さんが、蒼くんの向こう側で何かを話しているので、その隙に。蒼くんをちらっと見つめる。
「ん?」
「蒼くん。実際してって言うんじゃないけど」
「?」
「……今の玲央を撮ってほしい、と思っちゃう……」
こそ、と言うと。蒼くんは玲央を見て、
「ああ。……まあ、分かる」
ふ、と笑ってる。分かってくれる? とじっと 見つめてしまうと、蒼くんは、はいはい、と苦笑い。
「あの見た目で、和の感じ出せるのはすごい」
クスクス笑いながら、オレの耳元で、こそこそと囁く。
うんうん、と頷いたところで、玲央と視線が合った。ドキ、と胸が逸る。
「どう?」
「おいしいし……玲央が、すごく綺麗」
「――――……」
玲央が、ん? と微笑むし、そこで他の皆も笑いだすので、「あ、綺麗って……動きが」と言い直すけど、なんか今更な感じで、オレはそこまでで黙った。うう。恥ずかしい……。こんなとこで、玲央が綺麗、とか、何言ってんだろって感じだよね、と。顔が熱い。
(2024/5/30)
Blogに書きましたが、月末までライト文芸に専念しようと思ってたんですが、どうしても書き途中のお茶シーンを仕上げたくて(´∀`*)
何となく穏やかな雰囲気を感じて頂ければ~( *ˊᵕˋ )
あと玲央が綺麗だなって(๑´ლ`๑)フフ♡
そして宣伝🧡💛💚💙💜🩷🩵
あとで消しますが。
書きたいことをいっぱい詰め込んでる話になってきました(笑
うまく着地できるかなあ……。
良かったら読みにいらしてください。
幼馴染で出してる3人の子が気に入ってます(*´艸`*)💕
明日までに完結できるかわかりませんが、
今日お休みなので、頑張ってます~💦 なのに玲央と優月が描きたくてしょうがなくなった(笑 20分位とっちゃった💦
ライト文芸大賞は、投票ができるコンテストなんですが、今読者投票1,829作品中3位です。
投票関係なく、ライト文芸の小説7,564作品中、昨日1位になりました( ノД`)
もうなんか嬉しい。ありがとうございます。ライト文芸のジャンルで1位になったのはたぶん初めて。( ノД`)✨
https://www.alphapolis.co.jp/novel/551897599/576876829
「今日でやめます」と「悠里」でも検索できると思います。
BLじゃないので、電車とかでも読める(笑)と思うので、お帰りの時にでもぜひ~(*´ω`*)💗
投票はログインしないとできないのですが、読んで頂けるだけでも、応援になる……そうな? 多分そうみたいです。
とにかく、あと1日と13時間。頑張ってきます。
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