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第849話◇

 皆と待ち合わせの出入り口。  玲央と、もう居るかな、と言った時、三人の姿を発見。 「あ、居た」 「ああ」 「目立つねーあの三人も。すぐ見つけられる。怜央が一番だけど」 「そう?」 「うん」  ライブのお客さんたち、皆気合入ってて、可愛いしカッコいい、おしゃれな人達もいっぱいいるのだけれど。  どうしてあんなに、目立つんだろう。すぐ見つけられた。見つけたっていうより、目に勝手に入ってきたというか。  オレ達が気づいたのと同時に、三人も気づいた素振り。勇紀がオレにおーいと手を振っている。  近づくと「玲央ー優月ーお疲れー」と勇紀が言ってくれる。  皆が笑いながら、玲央に視線を流す。 「こういうとこでも玲央は目立つよな。お前とはどんなとこでも待ち合わせできる気がする」 「謎なくらい、すぐ目に入るよな」  甲斐と颯也が笑いながら言うけど。 「今、優月も、お前らのこと見て、すぐに見つけられるって言ってたぞ」  そうなの? と皆に見られて、「うん」と頷く。 「皆目立つんだよ~。オレはたぶん、余裕でかくれんぼできるけど、皆は絶対できないよね」  ぷぷ、と笑いながら言うと、「何でかくれんぼ」と突っ込まれる。 「わー……なんか、みんな、久しぶりって感じがする……」  なんか、三人と話してたら思わず出てしまった言葉に、皆が首を傾げた。 「久しぶりって?」  勇紀が言って、皆も、とっても不思議そう。あ、そうだよね、全然久しぶりじゃないんだけど……。  隣で玲央が何だか面白そうにオレを見ている。 「なんか、今すごく久しぶりな気がしちゃって。希生さんのお家、色々楽しかったんだけど、なんか本当にすごくてね……不思議で」  なんといえばいいかなあと考えている間、皆がちょっと笑いながら待ってくれている。 「あ、なんか、異世界みたいな感じで……すごすぎて。なんか皆の顔みたら、戻ってきたなーって気が……」  言うと、横で玲央がぷっと吹き出す。 「楽しかったなら良かったね。あれか、濃密すぎたってこと?」  勇紀がそう言って笑うので、うんうん、そうなの、と頷いてると。 「異世界だって」 「異世界……」  甲斐と颯也がクスクス笑いながらつぶやいて、怜央を見ている。  玲央はオレの頭をぽんぽんと撫でた。 「とりあえずじいちゃんたちは楽しそうだった」 「オレも楽しかったよ。すっごく。なんか、二日間、めちゃくちゃ濃かったの」  そう、それに、ついさっきも、なぜか朝からホテル……とか。  ……なんか全部、ひっくるめて、全然、いつもの日じゃなかったし。  なんかこの二日間もうなんか、すごかったなぁ……。 「つか、優月がめちゃくちゃオシャレになってるんだけど」 「な」  甲斐が言ってくれて、颯也が頷きながら「髪も良い感じじゃん」と、オレを見る。 「これは、玲央がささっとやってくれたの。すごいよね」  自分の髪を手にとって見ながら言うと、勇紀が楽しそうに頷く。 「そうそう、それを言おうと思ったのに、久しぶりって言われて飛んじゃったよ。チョーカーも似合うー!」  勇紀が笑いながらそう言ってくる。 「ほんと似合う。いいね、あれだよね、オレら、優月もいれて、皆でバンドだと思われそうだよね」 「え、そう?」  そんな訳ないけど、と思いながらも、なんだか嬉しくて、隣で微笑んでくれてる玲央を見あげた。

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