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第16話
「....悪い、てっきり、最初、慣れてんな、て思ってた。でも、なんか恥ずかしがるし、違和感はあったっつーか....」
ハルは顔を真っ赤にした。
「あ、じ、実は下駄箱の手紙を読んでから、そ、その、び、びっくりなのと緊張で食事も喉を通らなかった、というか、そ、その、は、早くシャワー浴びて、緊張解さなきゃ、て、すぐに浴室行って、よ、浴室で、が、頑張って呼吸整えたり....」
いつにも増して、たどたどしい、また早口なハル。顔は変わらず、真っ赤で動揺しているようだ。
「な、何回も、そ、その、手紙読み返して、ほ、本当に佐伯先輩かな、て、そ、その嬉しい半目、本物かな、て、こ、困惑したり....」
「....だから、腹の虫、鳴いたのか」
「....は、恥ずかしかったです」
思わず、俺は笑顔になった。
「....やっぱり、可愛いな」
「え?すみません、今、頭、混乱していて、もう一度」
ボソッと呟いた俺にハルは催促してきたが、変わりに頭を撫でた。
「ここじゃ、ゆっくり出来ないだろ?....ハルの部屋みたく、綺麗じゃないけど、俺の部屋に移れ」
ハルの睫毛の長い大きな瞳がますます丸くなり、微かな笑みを浮かべる俺と見つめ合った。
「い、いいんですか....?」
「ハルが嫌じゃなかったら」
「嫌な訳ないです....嬉しい」
「....でも、なんで、させ子してる?もし続けるようなら無理だ」
ハルは諦めにも似た表情に変えた。
「....騙されたんです、僕。
1年のときに告白された先輩に。最初はわからなかった。
けど、他の人の相手もするよう言われたり....先輩は卒業したけど、連絡も来ない。でも、まだ続いてて....」
ハルがさせ子にならざるを得なかった状況を聞き、不憫に思えた。
「....その先輩が好きだった?」
「....最初は。でも、最初だけでした。他の人とやらせて笑ってて、...悔しかったし、悲しかった....」
無意識に俺はハルを抱き締めた。
「....トートバッグの中、見たときにびっくりした」
「....生で出来るから最高、て人もいれば、性病持ちだろ、ゴム付けろって命令する人や....おもちゃ使え、て人もいるから....」
「....感じるの?」
次第に俺は嫉妬に変わった。
この細くて華奢な体、性格も穏やかで可愛いハルが多数の知らない男たちに抱かれているのかと。
「全然。勝手に無理やり入れて、いきなり激しく動かされて、勝手に出して、なんかおもちゃみたいで....」
ハルの唇を塞いだ。
それ以上は言わせまいとキスをした。
唇を離すとハルは涙を浮かべていた。
「....間違いなかった....佐伯先輩、僕のヒーローだった....」
「....俺が守ってやる。とりあえず、すぐに準備して、俺の部屋に来い」
「ありがとう....ありがとうございます、先輩....」
ハルは涙を浮かべ、俺を見上げた。
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