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第18話
ハルは俺の寮の部屋で一緒に暮らし始めた。
空いている時間はせっせとフローリングに掃除機を掛けたり、バケツに水を張り、雑巾で拭き掃除をしたり、甲斐甲斐しい姿がある。
朝から作った弁当も持たせてくれる。
たまの休み時間はハルの様子を見に、ハルのクラス、2-Bを訪れたりもし、昼休みは一緒にハルの作った弁当を食べた。
ずっと購買部でパンを買って食べていた俺にはかなり有難い。
以前、
『ハルを助けてください!』
と俺に懇願したハルのクラスメイトが俺に気づき、真っ先に寄ってきた。
「ハルですよね?」
「ああ。最近はどう?妙な輩は来てない?」
「はい。お陰さまで。先輩のお陰です」
ハルのクラスメイトは満面の笑顔を見せた。
ハルのクラスメイトから、風邪を引いているハルを助けてください!だけの意味ではなかった。
ハルがさせ子をさせられているけれど、自分やハルを知る友人にはどうすることも出来ず。
ハルが俺の話しをしていたのを思い出し、ハルの友人たちは秘かに、俺が唯一のハルを救う望みだったのらしい。
そして。
ハルが俺の話しをするときはさぞ、嬉しそうだったらしい。
秘かにハルは俺を見かけてはクラスメイトや友人に話していたらしいが、彼女さんがいるみたいだし、望みは無いんだけど、としょんぼりするハルのことも聞かされた。
「あ!佐伯先輩!」
ハルが俺に気づき、駆け寄ってきた。
「昼休みだし。一緒に食おうぜ」
弁当を掲げ、笑顔を浮かべると、ハルもまた笑顔になった。
「はい!お弁当、持ってきます!」
ハルが一旦、弁当を取りに教室内の自分の机に引き返す。
「ハル、凄く明るくなりました」
「そっか、それは良かった」
俺とハルは屋上で弁当を拡げた。
開けると配列まで全く中身が同じ。
照れた笑みを浮かべるハルに、
「美味そうだな。いただきます」
ハルの愛情のこもった弁当に箸を伸ばした。
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