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ダイナミクス初心者講座へようこそ②

「では、先生、ダイナミクスの性を持って生まれてきた人に、一番に知っておいて欲しいことはなんでしょうか?」 「はい、いくつかあるのですが、まずは、ご自身の傾向を早く知っていただきたい、ということです。 例えば、一概にDomだからと言って、Domの性を持った者がみな同じ性の傾向を持つかというとそうではありません。 例えば、Subに対し、とにかく躾と称した調教をしたいといった傾向を持つDomの方もいらっしゃれば、その逆に、甘えるだけ甘やかして、自分に頼らなければ生きていけない、骨抜きにした甘えん坊のSubを育てたいという方もいらっしゃいます。 DomはSubを支配したい。 その欲求はみな同じなのですが、支配したい欲求の内容は人それぞれに違うんです」 「そうなんですね」 「なので、ご自身の傾向をより早く理解して頂いて、その傾向と合致したパートナーを早く見つけて頂くことが重要となります」 「それはどうしてなんでしょうか?」 「ダイナミクスの性を持った者は常に性の欲求に悩まされてしまいます。その症状を抑える薬は色々と開発されていますが、完全に抑え込むまでの薬の開発までにはまだ至っていません。 己の性の欲求を無理に押し込めたり、または放置したり、自分で思うように強引にコントロールしようとすると、徐々に心や体に負担が掛かってしまいます。 そして、それは徐々に不調をきたし、体調不良の生活を強いられることになってしまいます。 そのような生活を続けていくと、最悪、Domの性を持つ者は凶暴になり、怒りに任せた犯罪を犯すことがありますし、Subの性を持った者は対人恐怖症やひきこもり、鬱病を引き起こすことが考えられます」 星斗はイヤホンで聞きながら、まさに自分の現状だと思い、妙に納得した。 「ですので、本来の自分の生き方を早く見つけていただいて、それに合ったパートナーを見つけてもらえれば、ストレスのない人生を手に入れられるわけです」 「では、先生。より良いパートナーを見つけるには、どうしたらよいのでしょうか?」 「はい。一番良いのは、行政指導の下で作られた相談所になります。 その相談所では、AIなどを駆使した最先端の科学技術で相性がピッタリのパートナーを見つけてもらえますので、そこに登録して頂くのが良いと思います。 他にも、マッチングアプリやワンナイトだけの出会いを求めたお店などがありますが、私はあまりお勧めはしていません。そういう場所で出会いを求められる方々は本気でパートナーを見つけようとは思っていない方がほとんどだからです。 よりよい生活を何よりも送りたい。 そう思われる方は、ぜひ、行政指導の下に設置された相談所にご登録ください」 「今回の動画講座はここまでとなります。先生、本日はありがとうございました。次の動画講座になります、《よりよいPlayを楽しむには?》でも、先生に引き続き、解説をお願いしたいと思います。それでは、また次の動画でお会いしましょう」 女性アナウンサーがそう締めくくると、また軽快な音楽が流れ、一つ目の動画が停止した。 「パートナーか・・・」 星斗は今のニート生活から脱するには、パートナーを早く見つければ良いのではないか?と考える。 でも、どんな人と・・・? 頭にはなぜか、眞門の顔が浮かぶ。 俺の性の傾向か・・・。 ヤバいよな・・・イケメンのおじさんが好きだなんて・・・。 ドン引きだわー。 自分で自分のことを引くわー。 あんなに好きだったお椀型のオッパイよりもイケメンのおじさんにキスしまくってたなんて・・・。 引くわー。 それで、俺はイケメンのおじさんに一体、何がされたいんだよっ!! 「・・・・・」 ・・・引くわーっ!! 星斗は自分の人生についても性についても将来がとても不安になった。

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