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帰宅して・・・

昼下がり、星斗は家路にたどり着いた。 「ただいま」 「おかえりなさい。無職だからって、随分と遊びほうけてきたのね」 玄関の近くにあるトイレ掃除をしていた母の加奈子。 顔を合わせた途端、無断外泊をした嫌味を言われてしまう。 「色々あって・・・」 星斗の家はごく普通の閑静な住宅街にある、二階建ての、そこそこに間取りがある、言わばよくあるごく普通の一軒家だ。 「あら、あんた、なにそれ?」 加奈子は星斗のピンクの首輪にすぐに気がつく。 「母ちゃん・・・。俺、Subだって」 「サブ・・・? サブって、あのSub?」 「うん」 「やだーっ、あんた、Subって言ったら、人に頼ってしか生きていけない貧弱な人達のことでしょ?」 「いや、そういうわけじゃ・・・」 「なに、まだ働きたくないからって、そんな嘘を思いついたの?」 「へ?!」 「誰に入れ知恵されたの? ・・・タカシ君でしょうっ! 私、あの子、苦手だわ~。大体、顔からして人相悪いもんね。無職なんだから、友達ぐらいはきちんと選ばないと。社会人になったら、人付き合いは大事よ、今からでも人を見極める目は・・・」 「もういい・・・ごめん」 自分への信頼を失くしてしまっている以上、母に何を話しても無駄だと思い、話すことを諦めて、星斗は自分の部屋がある二階へと向かった。 階段を上る星斗の背に向かって、「タカシ君とのお付き合いはもうやめときなさいよっ。後、そろそろ真剣に働き口のことも考えなさいっ。いつまでも私や父さんに頼って生きていけるわけじゃないんだからねー」と、星斗の姿が見えなくなるまで、加奈子の愚痴は止まなかった。 うざい・・・。と、心の中で愚痴るも、今は自立しようにも自立できいないわけで、母親から説教されるのも当然だと思い、星斗は何も言い返さず、自分の部屋に籠ろうとした。 と、自分の部屋の隣の部屋(=弟の部屋)から、夏休み中の高校生の弟、:明生(あいき)がタイミングよく出てきて、鉢合わせした。 明生は明らかに見下した目で星斗を見る。 「・・・なに?」 「バカニート」 「・・・・・」 「遊んでないで、とっとと働けよ」 「・・・・・」 「早く、社会の役に立てよ」 「・・・・・」 明生は呆れたようにそう言うと、階段を下りて行った。 星斗は傷ついた。 自分でもそんなこと充分分かってる。 やはり、一刻も早くこの現状から抜け出さないと。 それにはパートナーを見つけることが先決だ。 この際、自分の性の傾向(=実はイケメンのおじさんが好きだった→これは星斗の勘違いだが、本人は未だ分かっていない)にいつまでもドン引きしていても仕方がない。 星斗はパートナーを紹介してくれる相談所に行く決心をした。

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