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診察にて・・・
現状の報告を兼ねた診療の為、星斗は寺西の元を訪れていた。
「渋谷さん、その後、体調はどうですか~?」
白衣姿の寺西が以前と変わりなく、優しい口調で尋ねてくる。
「はい・・・まあ・・・」
「あまり変わりませんか?」
「そうですね・・・これと言って劇的な変化は・・・」
「そうですか・・・じゃあ、お薬を変えてみましょう」
「お願いします」
電子カルテに入力する寺西に向かって、星斗は現状の悩みを打ち明けてみた。
「先生が出演されてる動画を見ました。資料で渡された講座の。解説をされていらっしゃる」
「あ、ご覧になってくれたんですか。お恥ずかしい限りです」
と、照れながらもどこか嬉しそうに寺西は笑みをこぼした。
「それで、先生に相談したいことがあるんですけど」
「なんでしょう?」
「あの動画講座に倣って、パートナーを紹介してくれる相談所に行ったんです」
「はい」
「早く平穏な日常を取り戻したいと思って。親からもさっさと社会復帰して働けって言われてますし」
「はい」
「でも、断られました」
「・・・あっ! ひょっとして、首輪、ですか?!」
「はい。相談所の方は同情してくれたんです。でも、首輪を付けたSubには誰も会いたがらないだろうって言われて・・・首輪が外れたらまた来てくださいって・・・」
「そうでしたか・・・」
「俺、どうすれば良いんでしょう? やはり、このまま薬で様子を見るしかないんでしょうか? もし、薬で思う様な効果が出なかったら、その場合はどうなるんでしょう???」
「・・・そうですね・・・」
と、寺西は何やら考え込む。
「・・・そうだ、渋谷さん、眞門さんのことをどう思います?」
「へ?」
「眞門さんのことは苦手ですか?」
「・・・いえ、そんな・・・」
「じゃあ、好き?」
「好きと言うか・・・素敵な方だなって思いますよ」
「じゃあ、イヤな印象はないんですね?」
「・・・はい」
「じゃあ、当分の間、暫定的に眞門にパートナーになってもらっては?」
「えっ?!」
「その首輪もあいつがつけたわけですし、その責任をあいつに取らせましょう」
「いや・・・それは・・・」
星斗は戸惑った。
眞門との夜を思い出すと、眞門に顔を合わせることがとても恥ずかしいからだ。
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