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第21話
あれから1週間。
何事もなく先週末を迎え、金曜日の夜は創士様の部屋で過ごした。
少しだけ暗くした部屋で愛し合った。
身体に付けられた傷は、なんとか塞がったけどほんの少しだけ赤みが残った。
でも、少し暗い部屋のおかげで気付かれることはなかった。
いつも以上に創士様に激しく求められ、それを何度も受け入れた僕は幸せだった。
創士様の熱が、あの日は僕は悪夢を見ていただけなんだって思わせてくれた。
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10日後。
逢坂様からの連絡が来た。
午前中の必須の講義を終え、早めのお昼を食べようと田村と学食へ向かっている時だった。
田村に断りを入れ、人気のない場所に移動して電話に出る。
「……はい」
「あ、柊君。今大丈夫かい?」
「何でしょうか」
「ふふっ、そんなに緊張しないで」
そんなことを言われても無理だ。
この時がずっと来なければいいと思っていたのだから。
「ねえ。今日、授業何時まで?」
「……」
「学生証返すよ」
「……午後に1コマありますので、15時に終わります」
「分かった。じゃあ、その頃に大学まで迎えに行くよ」
その発言に僕はギョッとした。
「や、やめてください」
「ふふっ、冗談だよ。終わったら今から言うところにおいで」
逢坂様が指定する場所を僕は暗記した。
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創士様には『飲み会に誘われたので行ってきます。帰りは遅くなります』とメールを送った。
電話だと僕の嘘がバレそうな気がしたから。
創士様からの返信は電車で移動中に来た。
『俺も急なアポで帰りが遅くなる。飲みすぎるなよ。』のメッセージにクスリと苦笑いをした。
16時。
指定されたホテルの部屋の呼び鈴を押すと、程なくドアが開いて逢坂様は笑顔で僕を迎え入れた。
「1週間ちょっと振りだね。また会えて嬉しいよ」
腕を引かれて中に入るなり抱き締められて、思わず腕を突っ張って身体を離した。
そんな僕に逢坂様は口の端を上げて小さく笑った。
「……あの…」
「ん?」
「今日は学生証を返してもらいに来ました」
今日の目的はこれだけだ。
学生証がない一週間はとても不便だった。
学食では学割で食べれなかったのはもちろん、校内にある図書館への入館もままならなかった。
在学生しか入れない図書館は顔見知りの司書さんがいる日しか入館できず、課題の調べ物ができなくて田村に手伝ってもらった。
「ああ、これがなくて不便だったよね。ごめんね」
鞄から学生証を取り出すと僕に差し出した。
受け取るとバッグに入れ後退する。
「じゃあ、僕はこれで失礼します」
「……君のご主人様って、僕の会社と今取引している会社 社長なんだね。今日も急な呼び出しを受けて大変だね」
「っ!」
出口に向かっていた僕は、その言葉に思わず振り返ると、逢坂様は10日前と同じ目で僕を見て笑っていた。
「取り引きをしようか、柊」
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