10 / 12
第10話 ファイヤウォール
なぜ、会ってしまったのだろう。
全てはある、か弱いおとこのささいな間違いが引き起こした物語である。
「アプセトネデブ」
すると、一人の会社員が奥の方からジリジリやって来る。白昼堂々と。
美術館で作品を眺 めていた際に、ボクは素晴らしさのあまり呟 いただけなのに。
それからというもの、親切にIT関連のニュースやアルゴリズムの構造、極めつけはネットワークの知識まで植え付けられた。
ボクはそこから人生が一変する。かつて清掃員を三年費 やしてきたことも今となってはいい思い出である。
「すまん、このファイアウォール見直してくれへん」
意味のわからなかったネットワークの知識も対応できるようになってきた。まさかボクがシステムエンジニアに就 くとは、あの方のおかげで今こうして渡り歩んできた。
「承知しました。」
ともだちにシェアしよう!