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幼馴染み_1
side β
「――四年も片想いして、ソイツらは番になったんだ。この前初めてαの方に会った。俺に嫉妬心剥き出しにしていて、互いに想い合ってるんだってすぐに分かった」
賑わう店内と手元のビールのお陰でいつもより饒舌になる。
隣に座る幼馴染み兼同僚の有嶋 薫 は、中身が半分程に減ったビールジョッキを傾けながら俺の話を聞いていた。
「だからきっと俺達もそうなれると思う。だって俺はもっと昔から薫の事が好きだから」
「………………」
俺と薫の出会いは幼稚園。
まだまだ本当の恋なんて知らない頃から俺はずっと薫の事が好きだった。
俺より小さかった背丈がいつの間にか頭一つ分見上げるようになっても、高くか細かった声が落ち着いた男らしい声になっても、可愛らしかった顔が格好いいイケメン顔になっても、俺はずっと薫が好きだ。
「……壮史郎、その人達のバース性は?」
「αとΩ」
「僕はα、壮史郎は?」
「βだ」
「そう、だから彼らと僕達とじゃ全然話が違うんだよ」
「…………」
α、β、Ωが第二の性と呼ばれる世の中。
階級制までとはいかないものの、この第二の性はとても厄介に影響を及ぼす。
希少にして優勢なαと希少にして劣勢なΩは特に繋がりが強い。子を残そうとする本能からΩはフェロモンを放つのだが、それが他者を見境なく誘発してしまう為に邪険にされることが多い。
そんなΩを救う事が出来るのがα。αとΩは番関係を結ぶ事が出来、それによりΩのフェロモンは番にのみ有効となる。
Ωが唯一幸せになれる方法、だなんて学校じゃそんな教え方はしないが、現実はそれが正しい。
そしてβは平凡と称される、ただの蚊帳の外の存在。
優勢でも劣勢でもましてや希少でもない。
αのように優秀でもなく、Ωのように子を作る事も出来ない。
それが俺――汐野 壮史郎 に与えられたβと言う性。
「……βじゃ子供が作れないから?」
「そうじゃないけど……」
「じゃあ何で……?」
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