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幼馴染み_17

こんなに近くにいるのに。 こんなに優しい瞳を向けてくれるのに。 こんなにすきなのに。 どうしてこの腕に抱き締めてもらえないんだろう。 どうしたら、俺は……。 「…………壮史ろ――」 「――あれ?やっぱり壮史郎くんだ」 薫の言葉を遮り、俺達の間に突然割って入った人影。 「え……あ、お前……」 「こんな所で、しかも昨日の今日で会うなんて凄い偶然だね」 へらへらと胡散臭く笑う顔は昨晩見たものと同じ。 名前は確か榛葉……だったよな? 「何々?今日もアタックして振られた?壮史郎くん泣きそうな顔してるよ」 「別にしてない」 「えー?でも涙目になってるよ」 からかう物言いとともに伸ばされた指の背が目尻に触れて、次には濡れた感触。落ちそうになった涙を拭われたのだと気付いて思わず顔を背けた。 「なってない」 「健気だね。俺そういう子好きだなぁ。そうだ、俺が慰めてあげるよ」 「――は?」 「俺も傷心中だからさ、慰め合おうよ。ね?」 言うや否や肩に伸し掛かる重み。回された榛葉の腕がまるで逃さないと言うように俺の肩を抱いていた。 「離してくれ。悪いがアンタの冗談に付き合う気分じゃない」 「そう言われると離したくなくなっちゃうな」 退けようとした肩の重みは行動を起こす前に軽くなった。見れば榛葉の腕を掴んでいたのは薫で、その表情は珍しく不機嫌を顕にしていた。 「なーに?そんな怖い顔して」 「壮史郎が嫌がってるので止めてもらえますか?」 「うーん、君は彼を振ってるわけだよね?てことは壮史郎くんは君のものじゃない。それなのにどうしてそんな事言われなきゃならないのかな?――嫌だって言ったら、君はどうする?」

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