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第11話

――エピローグ――  俺があいつを好きだと認識したのは、離れて、そして時間がかなり過ぎてからだった。その好きが、友達としての好きなのか、それとも違う意味の好きなのか、幼い自分にはそれすら判断がつかなかった。それでも離ればなれになったのがきっかけで、俺の中の彼の存在はどんどん大きくなっていって、そして自分の気持ちを偽ることが、いつしか出来なくなっていた。  会いたい、もう一度。会って話がしたい。  子供の自分にはどうすることも出来ない望みだった。  四つ葉のクローバーをあの日公園で探していたのは、あいつが言った通りの理由だった。父親の転勤で、母と姉は一緒に引っ越していった。だけど、俺はあいつと別れたくなかったから、嫌だと駄々をこねて、そして俺を可愛がってくれてた祖母が面倒を見ることで、俺は家に残ることが出来た。ところが、祖母の体調が悪くなってしまったのだ。もし祖母が入院してしまったら、俺は家族の元に行かなければならなくなるだろう。そうなったら、あいつとは別れなくてはならない。  俺は何とか祖母が元気になってくれるように、と願いを込めて四つ葉のクローバーを探した。……だけど、見つからなかったんだ。  祖母はしばらくして病院に入院し、そして亡くなった。俺は家族の元へ行かなくてはならなくなった。あいつとも、さようならだった。 俺が引っ越しのために家を離れる前日、あいつは俺の家まで来てくれた。そして四つ葉のクローバーを手渡してくれた。 『公園で探してきたんだ。また会えるよな? 俺たち友達だもん。もう一度会おうな、約束だぞ』  多分、あいつはそういうの全部忘れちゃってるんだろうな。  要、おまえ知ってるか? 白詰草の花言葉。 ――約束……  俺はおまえがもう一度友達になろう、って言ってくれて本当はすごく嬉しかったんだ。  ひねくれた奴でごめんな。  俺は隣で上機嫌で話し続けるあいつをちらりと見ながら、心の中でひっそりとそう呟いた。

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