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第15話

ぼくの演奏に、皆さんがあたたかい拍手を送ってくれた。 「……うん、まぁギリギリ合格、というところかな。でも素質はあるね。ゆみ先生、どう思ったかな」 「わたしは……わたしの試験の時の演奏よりずっと上手だと思いました。ピアノが大好きな気持ちが伝わる、いい演奏だったと思います」 園長先生が仰ると、ゆみ先生と呼ばれた女の人が続けて話す。 「プロに一番近かった君が言うなら間違いないな。よし、君を採用しよう!!」 「え……あ……ありがとうございます!!」 ぼくは椅子から立ち上がると、園長先生に深々とお辞儀をした。 「申し遅れたね、わたしは新庄龍三(しんじょうりゅうぞう)、この幼稚園の園長をやっている。桃田陽輔君だったかな、ここでは音楽教育に力を入れているから、君もそのつもりで頑張ってね」 「は……はい!!頑張ります!!どうぞよろしくお願い致します!!」 差し出された手にぼくは応えた。 「春翔君、そうと決まれば色々手配が必要になるから、園の事は君と赤木君に任せてもいいかな」 「はい、お任せください」 「ゆみ先生、わたしを手伝ってくれるかい?」 「勿論です」 「桃田君、いや、もも先生と呼ばせてもらおうかな。よろしく頼むよ」 「は……はいっ……!!」 にこやかな笑顔を見せて、園長先生はゆみ先生とホールを出ていった。

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