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第23話
帰宅と同時にはると先生から連絡があり、園長先生からぼくと悠太郎のために
園から近い場所にある一軒家を貸して頂ける事になった事、はるき先生のお知り合いの弁護士さんで離婚問題に強い人が見つかった事を告げられ、物件の確認とクラス編成の会議をする事になったので悠太郎も同伴で大丈夫だから明日も幼稚園に来て欲しい、というお話だった。
こんなに順調でいいのかなと思いながらも、ぼくは父親に仕事が決まりそうで家も見つかりそうだという話をした。
「ようやく出ていってくれるんだな。お前のような奴でも必要としてくれる事に対して感謝の気持ちを忘れるんじゃないぞ。ここには二度と帰って来るな」
「……はい、分かりました」
悠太郎が眠ってしまった後で父親はこう言った。
それを聞いた母親は悠太郎に会いたいから父親には内緒で後で住所を連絡して欲しいと、父親のいないところで言ってきたんだ。
父親とは分かり合えないままだったけど、母親との縁が切れない事はぼくにとってとても嬉しく、ありがたい事だった。
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