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第22話
それからは何事もなく平和にお昼ご飯を食べ、はるか先生と連絡先を交換して料理の作り方の動画を送って頂く事になった。
紺野さんはお昼ご飯を食べた後、はるか先生から借りたというテレビゲームを置き、新しいゲームソフトを選ぶとすぐに帰ってしまった。
「先程は嫌な気持ちにさせてしまいましたね。浩は口は悪いですが根は優しくて園ではまだちゃんとしてますから」
はると先生がお皿を洗いながらぼくに謝ってくる。
ぼくはお皿を拭く仕事を手伝い、悠太郎は外ではるか先生とはるき先生とサッカーをしていた。
「大丈夫です、ありがとうございます……」
「人見知りなんです、浩は。最初はああやってわざと人を傷つけるような事を言って、相手がどうするか見ているんですよ」
「そうなんですね……」
かつて、ぼくを見て同じように言った人たちもそうだったのかもしれない。
その時のぼくはそこでこの人とは仲良くなれないんだって決めてしまい、目も合わせず言葉も交わさなくなってしまったけど。
「僕もね、小さい頃は酷い事を言われてよく泣いていたんですよ」
「えっ、そうなんですか?」
こんなキレイで優しくてピアノだって上手なのにどうして?
ぼくは、はると先生の言葉が信じられなかった。
「ええ、僕、ロシア人の血が少し入っていて、日本人の顔じゃないでしょう?だから皆と違うという事でからかわれていたんです。でも、そんな僕を春楓がずっと支えてくれて、守ってくれたんです」
はるか先生の話をしている時、はると先生はすごく嬉しそうに見えた。
「はるか先生、小さい頃からすごい方なんですね」
「彼は選ばれた存在なんだと僕は思っています。そんな彼と出会えて、こうして一緒にいられて、僕は本当に幸せです……」
「ぼくは……はると先生も選ばれた存在だと思いますけど……」
笑顔で話すはると先生に向かって、ぼくはつい思った事を口に出してしまっていた。
「そうですか?僕は春楓の足元にも及びません。だからこそ日々努力を怠らないようにしているだけです。もし、君も自分が至らない存在で変わりたいと思うなら、努力し続ければいいんです……」
優しい笑顔なのに、そこに芯の強さがひしひしと伝わってくる。
ぼくもこんな風に考えられるようになろう。
はると先生の話を聞いて、心からそう思ったんだ。
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