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第21話

そこに、インターフォンが鳴る音が聞こえてくる。 「はーい」 はると先生が玄関に歩いていき、誰かにお疲れ様と声をかけているのが聞こえた。 「うーすっ!春楓、ピザ買ってきたぞ。1枚だと足りねぇんじゃねーかと思って2枚買ってきたし、ジュースも買ってきたからその分の金も払ってくれよ」 はると先生と一緒に来たのは、大きなビニール袋を2つ持った、はると先生よりは低いけど左耳に銀色の輪のピアスをしている背の高い茶髪の男の人だった。 「ジュースとか無駄遣いだろ。それは払わねぇぞ」 「いーだろ、任せるって言ったじゃん。それにコンサートで稼いでんだからそれくらいケチんなよ」 「稼いでねーよ!!売上は全部寄付してるって知ってるだろ?ホラ、ピザ代少し上乗せしてやるからこれで満足しろ」 「はいはい、分かりましたよ……っと……」 はるか先生と仲が良さそうに話し、お金を受け取るその人がぼくを見る。 はるき先生ほどじゃないけど、少し低めで張りのある声とキリリとした眉と切れ長の目が少し怖い印象だ。 「誰?こいつ」 「あぁ、次年度から働く事になった桃田陽輔くん。一緒にいるのは息子さんで悠太郎くんだよ。多分、君と同級生だと思う。もも先生、彼はうちの職員で、紺野浩(こんのひろ)と言います」 はると先生がぼくの紹介をその人にして、その人の事を教えてくれる。 「へー、ガキの作り方知らなそうなのにちゃっかり子供いるんだ、おもしれぇ」 いきなり、ぼくは紺野さんに笑われてしまう。 「浩、お前口悪すぎ」 はるか先生が紺野さんに注意した。 「オレは思った事言っただけ。で、何でこのお子ちゃまみてぇな奴がガキ連れてここにいんだよ?」 「あ、あの、ぼく、料理を教えて頂きに来ました……」 「は?うちの職員になるのに料理出来ないって事?ガチでお子ちゃまだな」 恐る恐る口を開いたら、厳しい言葉が返ってくる。 ぼくは怖くて泣きそうになってしまった。 「す……すみません……今まで親や妻に頼ってばかりいたもので……」 「あのさぁ、もっと堂々と話せば?そういう風にぐちゃぐちゃ喋ってる奴、オレ見てるとイライラすんだよ」 「……いい加減にしないか。君のイライラは個人的な感情であり、もも先生にそれをぶつけるのはおかしい」 ぼくがオロオロしていると、はるき先生が間に入ってくれる。 「……っ、分かったよ!!悪かったな、ちんちくりん」 「い、いえ……」 紺野さんはぼくの事、見ていてイライラするんだ。 学生時代も言われた言葉だったからまたかっていう気持ちになったけど、悲しくもなった。

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