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第20話

はるか先生の指導の下、ぼくはなんとかチャーハンと野菜スープを作る事が出来た。 リビングからはふたりの先生が弾くクリスマスソングが聴こえてきて、悠太郎が弾き語りをしているはると先生の隣で嬉しそうに聴いているのが見えた。 はると先生、ピアノだけじゃなくて歌もすごく上手なんだなぁ。 はるき先生のピアノは初めて聴かせて頂いたけど強弱がハッキリしてて聴きやすいし、弾いている時の表情はすごく楽しそうで穏やかに見えて恐怖は全然感じられない。 「楽しそうだな、悠太郎。俺も混ぜてもらお!!」 料理を終えたはるか先生は早歩きではるき先生の隣に向かって座ると、一緒に演奏し始める。 その嬉しそうな、楽しそうにピアノを弾く姿はテレビで見た時の衝撃をぼくに再び与えてくれた。 「春楓、ご飯出来たんじゃないの?」 曲が終わると、はるき先生がそう言った。その声は少し高く、優しく聞こえる。 「出来たけどさ、あの量は男4人と子供ひとりには足りなさそうだったから、これからココに来るっていう浩(ひろ)にピザ買ってくるように頼んだ。アイツ来るまでにもう1曲くらい弾けるだろ」 「春楓、聴いてるうちに弾きたくなっちゃったんでしょ?」 はると先生が悠太郎を連れてはるか先生たちのいるピアノの方にやって来て言う。 「悪いかよ」 「ううん、春楓らしくて大好きだよ。じゃあ3人で弾こうよ。春楓、何がいい?」 椅子を並べて、先生方は3人並んで座る。 ぼくは悠太郎と近くのソファに座るように言われ、悠太郎を膝に載せて腰掛けていた。 3人はかつてインターネットから人気に火がついた女性ボーカルの曲を演奏してくれた。 テンポの早い曲なのに、誰もミスのない完璧な演奏。 真ん中で主旋律を弾くはるか先生のソロの部分は鳥肌モノで、はると先生が一番上手いと話していたのも納得の演奏だった。 高音パートのはると先生との掛け合いのような演奏も、低音パートで音を支えていたはるき先生の演奏も素晴らしくて、ぼくは立ち上がって拍手を送っていた。

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