午後からの入園式。 悠太郎も新入園児として式に参加させて頂く事になっていたから、ぼくは悠太郎に手作りのお弁当を食べさせた後、事前に買っていたグレーのスーツを式の直前に着替えさせていた。 「大丈夫か？ヨースケ、悠太郎」 式で司会を務める事になっている浩がぼくに声をかけてくれる。 「うん、大丈夫だよ。ね？悠太郎」 「う、うん……」 着慣れない服装に、悠太郎はソワソワしていた。 「よし！ひろ先生がトイレ付き合ってやるから行くぞ！！」 「わぁ！！ひろせんせい、はやーい！」 そう言って浩が悠太郎を肩車してトイレに向かって走っていく。 ぼくも行こうかな、トイレ。 そう思って職員室を出て廊下を歩いていた時だった。 「はるかー！！相変わらずcuteだね！！元気だった？」 「やっぱお前かよ！！キャラ変わりすぎじゃね？明日南（あすな）」 玄関からはるか先生と男の人の賑やかな声が聞こえてくる。 チラッと見てみると、スーツ姿で短めの黒髪を刈り上げてオールバックにした、背の高い男の人とはるか先生が楽しそうに話していた。 そして、それを少し離れたところで見ているはるき先生とはると先生がいて、その表情は固い……ように見えた。 「England生活のお陰かな。向こうに行って、本当に良かったと思ってるよ」 ……あの人、どこで見た事あるような気がする。 そんな事を思いながらぼくはトイレに向かっていた。