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第62話
『今回、園長先生からのオファーに答えたのは、陽ちゃんとまーちゃんと集まって話をしたからなの』
黄嶋さんは先生方のお母さんがずっと音信不通である我が子の事を心配している事と、預かってきたという手紙をはるき先生とはると先生に渡したみたいだった。
『赤木さんもあなたの事、心配しているみたいよ。体調を崩しているみたいで、今度手術するって聞いたわ。春希くん、会いに行ってあげて』
『……嫌です。僕は家を出る時、あの人にお前は俺の息子じゃないって言われたんです。あの人、おばさんにも酷い事を言ったのに、今更心配しているって言われても困ります』
興奮ぎみのはるき先生の声。
その後黄嶋さんが何度お願いしても、はるき先生は断固として拒み続けていた。
『……春希くんも赤木さんと同じで相当頑固ね。分かったわ、私からはこれ以上言わないけど、ふたりとも元気でやってる事、ちゃんとお母さんに連絡しなさいね』
『分かりました』
はると先生の声は聞こえたけど、はるき先生の声は聞こえてこなかった。
『春楓、あんたもよ。賢ちゃんばっかりに連絡してるらしいじゃない!まぁ、私もこれから賢ちゃんのところに行くからいいんだけど』
『わーったよ!』
最後にはるか先生と黄嶋さんとのそんなやり取りがあったけど、会話はずっと重い雰囲気で、そこにいた園長先生以外の人全員が泣いていたみたいだった。
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