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第90話
7月に入ると、マーチング練習の他に園庭で運動会の練習も始まった。
園の運動会はマーチングだけでなく、かけっこ、全園児が3チームに別れて走るリレー、保護者と職員によるクラス対抗リレーもあるという事だった。
運動が苦手なぼくだけど年少さんチームとして当然走る事になり、ぼくは5走目、保護者のお父さんからバトンを受け取り、アンカーのはると先生にバトンを渡す事になってしまった。
「保護者と教師のリレー、毎年燃えるんだよな!で、親の誰かが気合い入りすぎて怪我すんだよ」
トイレ掃除をしながら楽しそうに話すはるか先生。
先生はサッカーされてたから絶対速いだろうなぁ。
「今年もあいつらと走るだろうから負けられねーな!!」
「??どういう事ですか?」
「ん?ここ何年かアンカーは俺、春希、春翔の幼馴染対決になってんだよ。保護者から見たいっていう声が多くてさ」
「そうなんですね……」
じゃあ、ぼくは浩とゆみ先生と走るって事……だよね。
浩とかすごく速そう。
「もも、いきなり走ったら怪我するから、ライブの練習もあるだろうけど毎日ちょっとでもいいから走っとけよ!」
「は……はぁ……」
そうだよね。
悠太郎もかけっこの練習を頑張ってるんだ、ぼくも頑張らなきゃ。
とは言え、ただ闇雲に走る練習しても意味ないよね。
……浩に聞いてみるしかないか。
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