91 / 151

第91話

トイレ掃除を終え、使った道具を片付けると、ぼくははるか先生と帰る準備をしようと職員室に向かった。 「待て、もも。何か嫌な予感がする」 ドアを開けようとすると、はるか先生がぼくを止めた。 「…………」 はるか先生が音を立てないようにそっと引き戸になっているドアを開ける。 「毎年この時期は慌ただしいね。でもすごく楽しみが一杯だ」 「わたしもそう思います」 「マーチングの陣形、手伝ってくれて本当に感謝してるよ、優美」 「……先生に喜んで頂けて、とても嬉しいです……」 一番奥の園長先生の席の辺りで抱き合っている園長先生とゆみ先生の姿が見えた。 「!!」 はるか先生がそっとドアを閉め、ため息をつく。 「あれはしばらく入れねぇな。春希、どこ行ってんだろ」 はるか先生はエプロンからスマホを出すと、はるき先生に電話をかけていた。 「あ、春希?どこにいんの?え?トイレ行って戻って来たら職員室入れなくなったから園庭で全員草むしりしてるって?分かった、今行く」 小声で話すはるか先生。 「みんな荷物取れないから園庭にいるって。そうだ、園庭で走る練習しようぜ!!」 「あ、はい……」 「……あれはこの時期に絶対起こるんだけど、あんま気にすんな」 「はぁ……」 はるか先生はぼくの肩を叩きながら笑顔で言ってくれたけど、ぼくはちょっと気になってしまってた。

ともだちにシェアしよう!