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プロローグ・6

 いつもと違い、要人はやけにぎこちなかった。  話しているかと思えば、気づいたら上の空。  視線を合わせたり、逸らしたり。  挙句の果てに、妙な事を言いだした。 「あの、な。優希。俺と付き合って……、くれないか?」  何を今さら、と優希は怪訝な顔をした。  もうすでに、付き合っているじゃないか。  今、ここでこうして一緒にお茶を飲んでるじゃないか。  そう言う優希に、要人は飲み物の残りを一気に干すと、真正面から見据えて訴えた。 「そうじゃなくて。その、友達としてじゃなくて……、あの、もっと……」  まさか。  まさか、要人。  その先は、ダメだ。  それは、言っちゃダメだろう。  優希の揺れた目の色に、要人は自分の言っている言葉の意味を、彼が理解したことを知った。  そうなんだ、優希。  友達以上の、恋人として付き合ってほしいんだ。 「返事は今すぐにじゃなくていい。明日。明日、この時刻にここに来てくれ。返事は、その時に」  一気にそう言うと、要人はその場からゆっくり去った。  本当は、逃げるように駆け出したい気分だったが、それではいかにも悪い事をしているみたいだ。  自分の気持ちに、一点の曇りもないことを現すために、要人は一生懸命ゆっくり歩いて行った。

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