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第一章・2
とても、寝てなんかいられない!
要人は寝具を蹴飛ばし、勢いよく跳ね起きた。
熱いシャワーを浴び、キッチンで軽食を作る。
寮の食堂へ行く時間は充分あったが、今朝は自分の好きなものを、自分の手で作って食べたかった。
優希に会う前に、大勢の人間に揉まれるのも、いやだった。
昨日とは違う、俺と優希の関係。
見るものが、聞こえるものが、触れるものが、すべて新鮮だった。
世の中、こんなにたくさんの喜びに満ちていたのか。
レタスの青に驚き、卵の爆ぜる音に感動し、パンの柔らかさに息を呑む。
全てが、昨日とは違う彩り。
世界が、まるごと生まれ変わったかのよう。
昨日と同じ制服に袖を通しながらも、やはり湧き上がる胸の高鳴りにウキウキしながら、要人は外へと飛び出した。
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