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第一章・3
いつもよりずいぶん早く、優希との待ち合わせ場所に着いた。
学校の教室や生徒会室、講堂へ、毎日二人揃って出かけていた。
幼いうちから、ずっと一緒だ。
でも、今日からその風景が変わる。
同じ場所でも、持つ意味が変わる。
俺と優希は、恋人同士になったんだから!
いつもと同じ場所へ、いつもと同じ時刻に、優希は現れた。
いつもと同じ笑顔で。
「おはよう、要人」
「おはよう」
優希の笑顔、少しぎこちないかな、と注意を配る。
彼も、俺と同じように今日の朝を特別に迎えてくれたんだろうか。
世界の色彩は、昨日よりずっと鮮やかに見えるのだろうか。
「寒いな」
「あぁ、もう冬だ」
白い息を吐く優希を見ていると、寒さも忘れる。
体どころか、心までぽかぽかあったかくなってくる。
「な、優希」
「ん?」
長く伸びる、ポプラ並木。
葉はすでに落ち、冬支度の高い木だけがずらり整然と並んで立っている。
まだ朝も早いので、人の往来はほとんどない。
要人は、優希にいたずらっぽく笑顔を見せた。
こっちこっちと腕を取り、一本のポプラの陰にその身を潜めた。
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