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第二章・3

 だが、今度は違う。  自分が心から愛した相手と、請い願うままに付き合っているのだ。  これは要人も、張り切らずにはいられなかった。 「な、いいだろ?」 「そうだな。じゃあ、お邪魔しようかな」  そんな風に特別扱いされることは悪い気分ではなかったので、優希は静かに承諾した。  返事を聞いた要人は、やった! とこぶしを握って心底嬉しそうだ。  これは忙しくなってきた!  要人はその日寮ではなく実家へ帰り、そこに抱える人間たちに散々ふれて回った。 「明日、優希が泊まりにくるんだ。念入りに掃除を頼む! 花も飾ろう。花屋に連絡してくれ。ディナーは奮発してくれよ? 一口だけ、ワインを飲もう。ビンテージものを頼む!」  こんな風にはしゃぎまわる要人を見るのは初めてなので、使用人はみな目を丸くした。  ただ、いらっしゃるのが要人坊ちゃんのお友達、と聞いて気を引き締めた。  これは絶対に、失礼のないようにしなくては。  そんなこんなで前日から料理の仕込みが始められたり、客間には真新しいリネンが準備されたりした。  それらをひとつひとつチェックしながら、要人はにこにことご機嫌だった。  明日、優希が泊まりに来る!  大切な一夜にしようと、要人は大いに盛り上がっていた。

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