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第二章・4
「明日は、何も持たずに来ていいから。歯ブラシもパジャマも、全部こっちで用意するから」
そう電話で話す要人の声は、ウキウキと弾んでいる。
「ありがとう。でも、なぜわざわざ電話で? ラインでも済むだろ」
「それは……」
優希の声が聞きたかったから、というのはキザかな、という要人の返事に、優希は頬を赤くした。
本当に、どうしちゃったんだ、要人は!
次から次へと繰り出されてくる愛情表現に、優希は戸惑っていた。
僕だけが、変わらなさすぎるのかな。
そういう風に考えたりもした。
幼馴染の要人が、恋人になった。
そのことを、もう少し意識しないといけないのかな。
でも、要人は要人だ。
そんなに突然、態度を変えるなんて僕には無理だ。
とにかく、明日は久々に要人のところへお泊りだ。
子どもの頃はよく夜更かしして、将来の夢など語り合ったものだ。
懐かしいな、などと考えながら、優希はその晩眠りに就いた。
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