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第二章・6
食後、要人は優希に湯殿と客間を案内した。
「ゆっくりくつろいできてくれ」
そう言われて通された大理石の湯殿はとても広く、ところどころにグリーンが飾ってある。
すでに蒸気で充分に温められていたので、優希は寒い思いをせずに湯を使うことができた。
本当に、要人の言うとおり心からリラックスして手で湯船の湯をすくうと、なめらかでしっとりとしている。
保湿力の高い湯なのだろう。
湯上りには、肌がすべすべになるに違いない。
「もしかして、温泉の湯を引いてくれてるのかな」
湯上りの優希は、細やかな気配りをもって自分をもてなしてくれる要人に、心から感じ入り感謝していた。
食事に風呂と、これだけの心遣いをしてくれているのだ。
客間もさぞや素晴らしいのだろう。
そう考えつつ、ドアを開けた。
ドアを開けると、穏やかな匂いの香が焚かれていた。
優希の好きな香りだ。
ローテーブルには、冷たい飲み物と軽食が準備してある。
湯上りで喉が渇いていたので一口飲み物をいただくと、優希は奥の寝室へ向ってみた。
おそらく、ほどなくして談笑をしに要人が訪ねてくるだろうから、ただちょっとだけ覗いてみるつもりで、そんな気軽さで寝室のドアを開けた。
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